2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】豪雨から4年、防災意識向上に注力=伊原木隆太・岡山県知事 2022/07/19 08:30

伊原木隆太・岡山県知事

 2018年7月の西日本豪雨災害で死者95人、行方不明者3人(2022年6月末時点)に及ぶ甚大な被害を受けた岡山県。伊原木隆太知事(いばらぎ・りゅうた=55)は、ハード面整備が「非常に順調に進捗(しんちょく)している」とする一方、県民の防災意識向上に意欲を見せる。

 河川や道路などの原形復旧工事は21年度末で完了。仮設住宅の入居者数もピーク時の1%以下まで減少した。決壊した小田川の3支川の堤防かさ上げなどの改良復旧工事も、23年度中には完了する見込みだ。

 一方で、自主防災組織の結成や地区防災計画の策定が伸び悩み、住民の高齢化に伴う先導役の確保も課題となる。伊原木氏は、「喉元過ぎれば熱さを忘れるのが人間の性で、なかなか取り組みが広がっていないのも事実」と認識。県の調査ではハザードマップについて「覚えており、内容もよく理解している」と回答したのは全体の4割にとどまった。「持っているだけで内容をよく分かっていない人も多い」として「一人ひとりが確認するのが非常に大事」と訴える。地区防災計画の策定支援や自主防災組織のリーダー育成などを進める考えだ。

 ウクライナ情勢や円安が地域経済に与える影響も懸念。県の調査では物価高騰により、約7割の中小企業が利益を圧迫されている。経済界出身の伊原木氏は「これまで通りのやり方でいけば値段が上がり、生活水準が下がるが、何とか悪影響を小さくできないか、あるいは新しい飛躍のきっかけにならないかというのが企業も消費者も知恵が問われるところだ」と分析。県の6月補正予算でも、中小企業の資金繰り支援の拡充や省エネ設備への投資、新事業転換に向けた取り組みへの補助を盛り込んだ。

 7月には大型観光企画「岡山デスティネーションキャンペーン」も開幕し「すごい期待している」と目を輝かせる。県独自のプレミアム付き食事券事業も8月中の販売、利用開始を予定。「外食はいろんな消費の起点になる。それぞれの産地や経済を活性化していくのにちょうど良いところからスイッチを押している」と意義を語る。

 JR西日本が公表した赤字ローカル線には、芸備線など県内3路線が含まれた。路線の存廃をめぐり、沿線自治体とJR側の議論は平行線をたどったままだが、「車と道路のセットには税金が投入されるが、公共交通の方にはあまり税金が入っていない」と指摘する。ただ、公共交通に税金を回すのは「税金の使い道の大転換になってしまうのでなかなか簡単な議論ではない」とも懸念。「JRの在り方に対する国の積極的な関与も考慮した丁寧な議論が必要だ」としている。

 〔横顔〕毎朝5分の腕立て伏せ、3分の腹筋、歯磨き中のスクワットは欠かさず行う。「運動は勉強の3倍力を入れてやっている」

 〔県の自慢〕国産ジーンズの発祥地として知られ、「岡山デニム」のブランド普及に力を入れている。21年にはパリで「岡山デニムコンクール」を初開催した。

(了)

(2022年7月19日iJAMP配信)

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