インタビュー 【トップインタビュー】「市民のための気概が大切」=入山欣郎・広島県大竹市長 2022/07/22 08:30

広島県大竹市の入山欣郎市長(いりやま・よしろう=75)は、6月の市長選で無投票で5選を果たした。県内の現職市長で最多選となるが、「長さよりもどれほど懸命に市民の皆さんのために働く気概を持つかが大切。自分なりにしっかりと市民の皆さんのために働けると自負している」と気負いはない。
今回は、自身にも市民にとっても異例の市長選となった。告示直前に入山氏が感染症に罹患(りかん)して入院。支持者らが当選を祝う会場に主役の姿はなかった。無投票で決まるのは24年ぶり。対立候補が出なかったため、有権者は候補者の演説や多選の是非などをめぐる論戦を見る機会もないまま幕が閉じた。
入山氏は体調を回復し、7月に公務に復帰。多選に関しては「この職に『執着する』気持ちもない」と述べた上で、多くの市民から続投を求められ、「この街のために尽くしたいとの思い」から出馬したと明かす。「まだまだ働ける。やっぱりこの街に夢を持ち、市民の皆さんが幸せであってほしいという夢がある間は一生懸命働きたい」と熱く語る。
4期16年で行財政改革を進め、市債残高を大幅に圧縮しながら、市の玄関口であるJR大竹駅の周辺整備などに当たった。新たな橋上駅と線路をまたいで東西を結ぶ自由通路は、2022年度中に供用を始める予定だ。「これまでは改札口が(西側だけで)両方になく、人の流れが止まってしまうのが大きな課題だった。そこを結節して栄えるように街の構造を変えたい」と、にぎわいづくりに意欲を見せる。
街の活性化には人口減少に歯止めをかける取り組みも欠かせない。入山氏は「いろんな形で生活様式が変わってきた中で、子どもを産み、健やかに育てられる環境づくりへできることはかなりあると思う」と指摘。「行政でやれることはやっていきたい」と、子育て支援などにもさらに力を注ぐ考えだ。
〔横顔〕商社勤務や会社社長を経て06年に初当選。「人の意見を頂く」ことができる読書が趣味で、市役所の執務室にも多くの本が並ぶ。スポーツも好きで、ウオーキングやジョギングで体を動かしている。
〔市の自慢〕「大竹市の自慢は人。昔から勤勉でいい人が多い」(入山氏)。若い頃、広島市に仕事で出掛け、出身地を伝えると、「大竹の人間はよう働く」とよく言われたという。手すき和紙などが特産。
(了)
(2022年7月22日iJAMP配信)