2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】行政はデータバンクに変貌=松丸修久・茨城県守谷市長 2022/07/29 08:30

松丸修久・茨城県守谷市長

 茨城県守谷市は2024年度をめどに、氏名や住所など市が既に保有している住民の個人情報と、各自が民間企業に提供している趣味や健康状態といった個人情報を一元的に管理する方針だ。同意した住民に個別最適なサービスを提供したい考え。今後の行政について、松丸修久市長(まつまる・のぶひさ=68)は「個人情報を預かる『データバンク』のような存在に変わることが求められるだろう」と語る。

 情報通信などデジタル技術を使って既存制度を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)をめぐり、市は守りと攻めの両面で進めていく構え。庁内の業務を効率化し、生産性を向上させるのが「守りのDX」で、住民一人ひとりに最適な新たな価値を提供し、暮らしを豊かにするのが「攻めのDX」。個人情報の一元管理は攻めのDXを実現する手段だ。

 松丸氏がDXに関心を持ったのは4、5年前。スマートフォンは高い利便性が支持され、社会に浸透したが、「スマホに対応した行政サービスを十分に展開できておらず、世の中を大きく変える可能性があるDXにいち早く取り組みたいと思った」という。

 ヒントにしたのが、顧客データを収集・分析し、最適な商品・サービスを提案する経営手法「CRM(顧客関係管理)」。「CRMを行政に取り入れ、例えば市と市内の病院が患者の情報を一体的に管理しておけば、初診の際、病歴などを瞬時に確認でき、いろんな手間が省ける」とみている。

 母子健康手帳には、子どもの誕生から就学前までの健康状態・予防接種の履歴が記載される。小・中学校に通う間も、予防接種の有無や学校の成績といったデータが自治体に蓄積される。このため、「中学校卒業までの15年間の情報をパッケージにして活用すれば、本人に役立ち、住民サービスの向上につながる」と見込む。個人情報については「将来は国も含め、所有権が個人にあることを明確にしなければいけない」とも。

 市は21年、DX先進国として知られるデンマークから学ぶため、同国駐日大使館と覚書を交わした。同国はほとんどの行政・納税手続きをオンライン上で済ませられるようにしており、既に行政窓口のカウンターがないという。

 松丸氏は「日本でも少なくとも行政窓口は不要になる。このほか、行政のどの部分が不要になるのかを見通すことが財政計画を立てる上で非常に大切になってくる」と力説する。その上で、スリム化していく行政は「『データバンク』のような存在に変わることが求められるだろう」と話す。

 現在は増加傾向にある市の人口が減少に転じれば、主な税収である個人住民税や固定資産税が落ち込む恐れがある。こうした中、本人から同意を得て個人情報を民間企業に有償で提供することで、新たな財源を確保したい考えだ。そのためには徹底した情報管理が求められる。松丸氏も「これまで以上に住民に信頼される行政にしなければならない」と気を引き締める。

 〔横顔〕趣味はゴルフ、座右の銘は「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」。

 〔市の自慢〕緑が多く教育レベルが高いこと。

(了)

(2022年7月29日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事