2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】地価上昇、町の発展阻害=渡久地政志・沖縄県北谷町長 2022/08/09 08:30

渡久地政志・沖縄県北谷町長

 沖縄県中部の西海岸に位置し、県を代表する観光・商業施設が集まる北谷町。県都・那覇市にも近く、近年では県内外で住みたい町として人気を集めている。ただ、人気上昇とともに町内の不動産価格は上昇し、ここ数年、人口増のペースは頭打ちだ。「町の魅力が高まることで地価が上がり、人口増の取り組みが難しくなるジレンマがある」。2021年12月に就任した渡久地政志町長(とぐち・まさし=43)は、町の課題をこう指摘する。

 北谷町は戦後沖縄の発展を体現するような町だ。太平洋戦争当時、米軍は北谷町の海岸線から上陸し、土地をほぼ占拠。米軍が海岸沿いに建設した「ハンビー飛行場」は1981年に返還され、その一帯の再開発が北谷のその後の飛躍的な発展をけん引した。「この20~30年、町はめまぐるしく変化した。庁舎から見える景色は3カ月ごとに開かれる町議会のたびに変わった」という。

 町の人口は、町政に移行した1980年の1.6万人から、2.9万人(2022年6月末)に拡大。町は若い子育て世帯への支援策を充実させるなどさまざまな施策を打ち、若い世代にとっても暮らしやすい町づくりを目指している。だが、観光業を中心とする町の発展は商業地域としての魅力を高め、県内有数の地価高騰は住宅難の要因となり、人口増加ペースの鈍化をもたらした。「本土復帰当時、町はさまざまな目標を掲げ達成させてきたが、人口4万人とした目標だけが今も未達だ」。

 北谷町の土地面積のうち、今も51.6%は米軍基地。順調に成長してきた町だが「今は土地がないため、経済だけでなく、町の発展そのものが手詰まりになっている」と渡久地氏。「基地に関しては国防など、さまざま観点からの議論があるのは承知しているが、私たちとしては単純に土地が欲しいという一点に尽きる」。住みたい人はいるのに、住宅供給さえままならない現状。すぐそこにあるのに自由にできない土地。基地を抱える自治体の思いは切実だ。

 将来の観光業に関しては、「住民が居心地よく暮らせ、結果として町外の方々が満足してくれれば」と話す。「北谷には7000年間も人が住んできた歴史がある。その歴史は戦争ですべて失われたが、どこにも負けない復興を遂げてきた自負があり、これらを平和学習に取り込んでいきたい」。基地に近い立地を魅力と捉え、「米ドルが使える町として小売業者が協力するなど、学生らが外国為替など生きた経済を学べる場にもしていきたい」と夢も膨らむ。

 〔横顔〕バスケットボールが盛んな町で、自身も2000年の富山国体に出場。バスケ成年男子の部でベスト8に入った。

 〔町の自慢〕中心部にあった大観覧車は20年以上、町のシンボルとしてそびえてきたが、今夏に解体。新たな「象徴」づくりを新町長としての課題ととらえ、「どこにもない発想で取り組む」と意欲を燃やす。

(了)

(2022年8月9日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事