2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】バイオマス発電で森林再生、林業活性化=保坂武・山梨県甲斐市長 2022/08/16 08:30

保坂武・山梨県甲斐市長

 甲府盆地の中西部、甲府市の西側に隣接する山梨県甲斐市。政府の「バイオマス産業都市」に選定され、間伐材などを活用した木質バイオマス発電や、発電で生じる排熱を利用するプロジェクトに取り組む。保坂武市長(ほさか・たけし=77)は、脱炭素社会実現への貢献とともに、森林の再生や林業活性化につなげたい考えだ。

 市は、2015年に農林水産省など7府省が共同で選定する「バイオマス産業都市」に手を挙げ、選ばれた。市の構想では、間伐などで発生する林地残材を燃料チップ化し、発電する。排熱は、発電所付近にある温泉施設や給食センターなどの公共施設で活用するほか、近くの農業用ハウスにも供給する計画だ。6月に着工した民間企業が運営する発電所は、24年2月ごろの稼働を目指す。

 きっかけは市長に就任した頃、市内でアカマツの松くい虫の被害が確認され、消毒や木の伐採に取り組んでいたときに木質バイオマスの話を聞いたこと。被害を受けた木々を含め、未利用材を活用できる点に着目した。「有効資源を活用して脱炭素社会に貢献する」と語り、「山に手を入れて、よみがえらせることにもつながるかなという思い」もある。

 排熱利用については、農業用ハウスへの供給事業に期待を示す。「周年で収穫できるようになれば」と語り、地元農協とも協議を進めているという。近くには、周辺農家が農産物を販売する「農の駅」や、見晴らしの良い公園もあり、「これを機会に人が集まる場所にするのが夢」という。

 発電量は、一般家庭での換算で年間1万3000世帯分だ。発電した電力は、固定価格買い取り制度(FIT)により東京電力に売電する計画。「将来は、地元で供給できるということはいいことではないかな」と理想ものぞかせた。

 近年発生する豪雨に対応するための治水対策にも力を入れる。「(甲府)盆地を水害から守るのが使命」と、武田信玄が築いたとされる堤防「信玄堤」の重要性を指摘し、周辺の管理にも取り組む。また、特定外来生物の「オオキンケイギク」が周辺に繁茂していることを受け、17年から除草作業をしている。オオキンケイギクが、根を下ろしている在来種の生育を阻害することで、地盤が弱くなるのを防ぐためだといい、「土手を守る努力をしている」と胸を張る。

 〔横顔〕県議、衆院議員を経て08年から現職。座右の銘は「誠実な人となれ」。日課は、自宅と市役所で飼育する鈴虫への餌やり。

 〔市の自慢〕赤坂台総合公園から見える富士山。特産品は、赤坂トマト、やはたいも(里芋)、市産のサツマイモを使用した芋焼酎「大弐(だいに)」。

(了)

(2022年8月16日iJAMP配信)

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