インタビュー 【トップインタビュー】財政再建着実に、都市成長戦略も推進=門川大作・京都市長 2022/08/26 08:30

財政危機からの早期脱却を目指す京都市は、昨夏策定した行財政改革計画に基づき財政再建を進めている。4期目の折り返しを過ぎた門川大作市長(かどかわ・だいさく=71)は、現在の行革の成果について「計画を大きく上回り、数字としても出てきている」と説明。計画では都市成長戦略も掲げており、文化を基軸とした都市経営にも本腰を入れる。
市では長年、収支の不均衡が常態化しており、不足する財源を行政改革推進債などの発行や、公債償還基金の取り崩しで賄ってきた。この状態が続けば2024年度には同基金が枯渇し、財政再生団体への転落が危ぶまれていた。行財政改革計画では歳出上限を設け、歳出改革や受益者負担の適正化、公債償還基金の取り崩し計画を25年度予算で160億円以下に圧縮するなどの目標を設定した。
今年8月に発表された21年度決算概要では、1、2年目で計画を上回る447億円の収支改善があり、公債償還基金の枯渇の危機は免れた。「心配も苦労もかけたが、大きく(行財政改革)計画を上回った。数字として出てきているのもありがたい」。ただ、基金の取り崩しで赤字を穴埋めする状況は依然続く。33年度までの早い段階で、計画外の取り崩しを脱却できるかがカギだ。
都市成長戦略では、約9キロ離れた市立芸術大学を京都駅付近に移転するほか、文化庁の京都移転などを通じ、文化芸術や民間の知恵と活力を生かしたイノベーションを創出。こうした取り組みを積み重ね、33年度までに一般財源収入を100億円以上増やすことを目指す。「京都のポテンシャルを最大限生かし、より文化を基軸とした都市経営を行って税収を上げていく」と力を込める。
特に東京一極集中からの脱却を目指す文化庁の京都移転は、地元の悲願だった。16年の方針決定後これまで2度延期されたが、来年3月27日に全面的に業務を開始。府庁に近接する旧府警本部本館を耐震工事したり増築したりして、約250人以上の同庁職員を受け入れる。
「(各省庁の)縦割りは残し、政府の政策に横串を指すような役割を担わせる。日本中の人が京都に文化庁が移転してよかった、文化庁の人も京都にきてよかったと思っていただける取り組みにしたい」と笑顔で話す。
〔横顔〕最近の趣味は、自宅でのお酒の味比べ。和洋問わず飲むが「どんどん京都の酒がおいしくなってきている」。来年1月には全国に先駆けて制定した「日本酒乾杯条例」の10周年を迎える。
〔市の自慢〕町内の地蔵にお供え物をしてまつる「地蔵盆」。「世界に宗教都市はたくさんあるが、地蔵さんが清められていて、きれいなお水と生花がお供えされ、地域の人によって祭られ続けている。こんな都市はない」
(了)
(2022年8月26日iJAMP配信)