インタビュー 【トップインタビュー】当初の抵抗勢力がDXの推進役に=大野元裕・埼玉県知事 2022/08/30 08:30

31日で就任4年目に入る埼玉県の大野元裕知事(おおの・もとひろ=58)は、就任当初からデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に推進してきた。「デジタル化が目標ではない」と言い切るが、仕事のやり方を変革した結果、「当初、抵抗勢力だった幹部職員が、今や仕事が楽になったことを経験し、DXの推進役になっている」と大きな変化を感じている。
第1段階として始めたのはペーパーレス化。知事室への紙の持ち込み禁止や、職員との打ち合わせでのウェブ会議の実施、リース期間が終了したコピー機の撤廃により、コピー使用量は2年間で多い課では90%、全体でも40%、それぞれ減らすことに成功した。
最も効果があったのは知事の議会答弁書の作成業務。従来は知事から修正を求められた文案は、持ち帰って打ち直して紙に印刷し、課長や部長の決裁を経て再び知事に持っていく流れの繰り返しで、「ほぼ毎日夜中までかかっていた」。現在は課長や部長も参加するオンライン会議で調整し、その場で知事自身が修正する場合もあるので、「今はいっぺんに終わってしまい、みんな大体、午後6時には帰宅してしまう」と残業時間の短縮に大いに貢献した。
DX推進を登山に例えると、だいぶ登った人もいる半面、「まだ麓でどの靴を履けばいいのかと話している人もいる」と指摘。全体としては2、3合目まで登ってきたとみており、「仕事が楽になったという成功体験をサポートする仕組みをつくり、職員のスキルアップを図りたい」と意気込む。
〔横顔〕最近のマイブームは「なるべく暇なときには県産食材を使う飲食店に食事へ行くこと」。また、もともとスポーツ観戦が趣味だったが、知事就任により、これまでなじみがなかった卓球やラグビーなどを観戦する機会ができ、「非常におもしろいと思った」。
〔県の自慢〕「ものすごく美しい自然が首都圏の中で楽しめる」ことが埼玉の自慢。防衛政務官時代、防衛省のある東京・市谷からヘリコプターで飛び立つと、皇居の次に緑が見えるのは川口市安行の自然公園や、さいたま市の見沼田んぼだったと振り返り、「これだけ近いところにある美しさは大切にしないといけない」と強調する。
(了)
(2022年8月30日iJAMP配信)