インタビュー 【トップインタビュー】想定外の「早い猛暑」でお叱りも=小林哲也・埼玉県熊谷市長 2022/09/20 08:30

「日本一暑いまち」で知られる埼玉県熊谷市で「今年は35度を超える猛暑日がやってくるのがかなり早かった」と語るのは、小林哲也市長(こばやし・てつや=63)。例年は7月下旬の梅雨明け後から猛暑日となるが、今年は6月27日の梅雨明け発表とともに猛暑に見舞われ、熱中症対策の新規施策が間に合わなかった。
市では今夏からエアコン購入しなくても毎月定額払いで利用できるサブスクリプションサービスを始めた。ただ、新型コロナウイルス感染が広がったほかエアコン工事が殺到するなどで設置業者を十分手当てできず、高齢者らの自宅への設置が当初予定より遅れ、「市民から少しお叱りも受けた」という。
熱中症対策と新型コロナ対策を両立させる晴雨兼用傘の市内小学生への配布も、中国からの調達が滞り、夏休み明けに。これについては「まだまだ暑いので、直射日光から身を守るのと同時に、マスクなしで一定の距離を保ちながらの登校に役立ててほしい」と提案する。
全般的な猛暑対応では、自ら防災無線で熱中症予防を呼び掛け、市職員や民生委員らが高齢者世帯を訪問することで、「他の都市よりもきめ細かくできたと思う」と胸を張る。
市の売りは暑さだけではない。2021年に本拠地を群馬県太田市から熊谷市に移した埼玉パナソニックワイルドナイツが、直後に開幕したラグビー・リーグワンの初代王者となり「熊谷が名実ともに日本一のラグビータウンになった」と笑顔を見せる。
専用スタジアムの熊谷ラグビー場が1991年に建設されたのを機に市は「ラグビータウン」を宣言したが、この時の市長は実父の故小林一夫氏。自身は県議時代にラグビーW杯招致議員連盟会長やラグビー振興議連会長を歴任し、熊谷ラグビー場の大規模改修にも尽力した。2019年のW杯ではアルゼンチン対米国など3試合の熊谷開催が実現した。
父親からラグビー文化を引き継ぎ、「新たなページをめくることができ、父も喜んでいると思う」としみじみ語る。
〔横顔〕中央大経卒。03年から5期連続で埼玉県議に当選し、17年県議会議長。21年11月に市長就任。市内に続々開店するラーメン屋巡りが最近のマイブームで「市内のラーメン地図も作りたい」。コロナで夜の会食がなくなり、「家族団らんの時間が増えた」と喜ぶ。
〔市の自慢〕高速道路は通っていないが、北陸・上越新幹線が停車する県北部の行政の中心都市。国や県のさまざまな機関が充実している。男女のラグビー(ワイルドナイツとアルカス熊谷)、女子サッカー(ちふれASエルフェン埼玉)、野球独立リーグ(埼玉武蔵ヒートベアーズ)の本拠地。誰もが健康で元気に暮らせる「スポーツ熱中都市」を宣言している。
(了)
(2022年9月20日iJAMP配信)