インタビュー 【トップインタビュー】人口増で子育て、防災支援拡充=湯元敏浩・鹿児島県姶良市長 2022/09/21 08:30

9年連続で人口増を達成し、鹿児島県内で5番目の人口規模の姶良市。人口増に伴う施策に注目が集まる。今年4月の市長選で再選した湯元敏浩市長(ゆもと・よしひろ=58)は2期目の取り組みとして「成熟したまち」を目指す考えを強調。「子どもの数も増える中で、まだまだ未熟な部分がある」として、2期目の政策の目玉に子育て支援と防災の強化を掲げる。
姶良市は2009年に加治木町、姶良町、蒲生町の3町が対等合併し、誕生した。「姶良市が合併して丸12年。人口も多くなり、インフラも整備され、高速もある」と成長に手応えを見せる。
子育て支援では、今年6月の補正予算で「子育て支援拠点施設整備事業」として約4800万円を計上し、「全天候型子ども館」の24年4月の開業を目指す。雨天でも利用できる親子同士の交流スペースや子どもの一時預かりができる場を作り、コミュニケーションの活性化や保護者の負担軽減を図る狙いだ。
今後は特に、子育て世代への「心の支援、精神的支援」の必要性を強調。市内に親や親戚がいない状況で子育てをする親の増加を念頭に置き、「小さな子どもを育てるということは大変。『誰に相談すればいいの?』というときに、絶望したり子どもにイライラが向かっていったりという可能性が十分にある」と懸念を示した。
子ども館は「児童虐待やDV(家庭内暴力)を未然に防ぐための施設だ」と強調。親子間の交流にとどまらず一時預かり機能により、親が時間にゆとりを持てるよう取り組む。
人口の増加に伴う防災対策の強化も課題だ。気候変動の影響で豪雨が毎年のように発生する中、人口増で宅地造成が進めば、これまでのように田んぼや畑で雨水を蓄えられなくなる。その場合、豪雨発生時には床上浸水などの災害リスクが増加する。
「人口増加、しかも若い人が家を建ててくれている。これはいいことだが、地面の下では水の逃げ場がなくなっている」として、6月補正予算では排水路や道路の整備費用(1500万円)も計上した。
地域の「稼ぐ力」にも期待が掛かる。例えば、11月ごろに採れる「早堀りタケノコ」について「台湾などの中華圏に売れないかなと思っている」と構想を練る。「日本の安心安全な食材ということでブランドにできないか」―。市の産業創出への夢は膨らむ。
〔横顔〕旧蒲生町出身。早稲田大学卒業後、日本テレビで政治部記者やプロデューサーを務めた。阪神タイガースのファン。趣味は古地図鑑賞。「姶良」の読み仮名が全国に浸透していないことを懸念し、名刺に「あいらと読むんです」と記載。
〔市の自慢〕NHKの大河ドラマ「西郷どん」のロケ地になった旧加治木町の古道「龍門司坂」や、国の有形文化財に登録された「山田の凱旋(がいせん)門」。
(了)
(2022年9月21日iJAMP配信)