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インタビュー 【トップインタビュー】人口減でも活気ある町に=西脇康世・岐阜県関ケ原町長 2022/09/26 08:30

西脇康世・岐阜県関ケ原町長

 日本の東西を分ける関所が置かれ、1600年には天下分け目の「関ケ原の戦い」の主戦場となった岐阜県関ケ原町。古戦場などを目当てに多くの観光客が訪れるが、定住人口は減少を続けている。西脇康世町長(にしわき・やすよ=70)は「活力を維持しながら、人口が減っても町民がさまざまなことに参画し、町を支えられる体制を整えたい」と、交流人口の拡大に力を入れる。

 人口減少は深刻だ。若年層だけでなく高齢者の間でも「冬の豪雪などにより近隣地域に移住する人が多い」と肩を落とす。2012年12月の就任後、新築家屋の建設や子育て世帯に対する助成措置を次々と打ち出し、町外からの移住や若年世代への支援に力を入れてきた。「まだまだ助成措置の利用は少ない。利用者を増やしてカンフル剤になれば」と期待を口にする。

 「町内の人口が減っても、他地域から人が来てもらえるようにする」ために力を入れているのが企業誘致。町内は約8割が山岳地域だが、平野部には企業の工場も並ぶ。敷地は限られているものの、廃館となったスケートリンクなどの施設を解体し、工場用地として確保するなど、誘致に向けた環境整備を進める。

 関ケ原は大阪と名古屋を結ぶ交通の要所になっており、地域の強みである交通の便の良さをアピールしつつ誘致活動を続け、町の活性化を図る。

 町内の観光資源を生かした取り組みにも力を入れる。2020年に県が町内に設立した「古戦場記念館」には、関ケ原合戦を再現した大型ビジョンを設置。このビジョンを使って合戦を疑似体験できるコーナーなどが人気を博している。町も記念館への人気にあやかり、町内に点在する石田三成など当時の武将の陣跡などに旗や柵を設置。観光客が1日かけて町内の合戦ゆかりの地を巡るイベントなども仕掛ける。

 さらに、一度は廃止された観光協会の復活にも尽力。観光協会を核として観光客を呼び込む体制を再構築した。「以前は古戦場のある町ということだけを売りにしていた。今後は町すべてをPRしていき、観光客を集めたい」。あらゆる地域資源を武器に、多くの人を呼び込む取り組みを進めていく。

 〔横顔〕1976年関ケ原町役場入庁。地域振興課長や総務課長を経て、町長就任し、現在3期目。趣味はゴルフと畑仕事。最近はキャベツやダイコンなどの栽培を楽しむ。

 〔町の自慢〕壬申(じんしん)の乱や関ケ原合戦の古戦場など歴史的な遺産が豊富。日本の東西の境目で町内でも文化の違いが感じられる。

(了)

(2022年9月26日iJAMP配信)

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