2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】住民のため模倣も辞さず=小田川浩・茨城県つくばみらい市長 2022/10/04 08:30

小田川浩・茨城県つくばみらい市長

 茨城県つくばみらい市の小田川浩市長(おだがわ・ひろし=55)は2期目の現在、地域の食料・エネルギー安全保障の強化、教育改革などに取り組んでいる。県内外の他の自治体が先行している事例でも、住民のためになると思えば模倣もためらわない柔軟な姿勢が身上だ。

 現在約1億2500万人の国内人口が2割減少し、1億人程度になると予測される30年後を見据え、小田川氏は「これまでとは違う新たな投資が必要となる可能性がある」と指摘する。その上で、職員には「どのような状況にも対処できるフットワークの軽さや対応力」を求める。職員が現在の所属部署の情報だけに関心を寄せているようでは「駄目」で、いろいろな角度から物事を捉えられる人材の育成が欠かせないとみている。足元では、ウクライナ情勢の変化や円安を背景とした燃料費・物価の高騰も踏まえ、食料や電力の地産地消を進めていく構え。

 食料の地産地消については、2022年度に初めて実施する市内産米の購入を通じ、コメのブランド力を向上させたい意向。11月の品評会で一定の食味値を超えたコメを市場価格に上乗せして市が買い取り、ふるさと納税の返礼品などに充てる。25年には県内で初めて、「米・食味分析鑑定コンクール」(米・食味鑑定士協会主催)の国際大会が市内で開かれる。これらを通じて市内産米のブランド力を高め、全国の知名度を引き上げるとともに「市内の流通量を増やしたい」考えだ。

 教育改革をめぐり、小田川氏は「先生の働き方を変え、時間的な余裕をつくることで、子どもに接する時間を増やしてもらいたい」と話しており、当面は教員の働き方改革に力を入れる。情報通信技術(ICT)を活用した教育や英語教育などを進めるには「先生の働き方を変えないと難しい」と判断したためだ。

 東京・秋葉原と茨城県つくば市を最短45分で結ぶ鉄道「つくばエクスプレス」が05年に開通。つくばみらい市にも「みらい平駅」が設けられ、転入者が大幅に増加。周辺のみらい平地区の人口は既に1万6000人を超え、全人口(約5万人)の3分の1に当たる。小田川氏は「みらい平地区をより住みやすく魅力的な街にすることで、市全体のレベルが上がっていく」とみており、引き続きこの新興住宅地域に積極的に投資する方針だ。

 21年度のふるさと納税の寄付金は約17億円と、4年間で100倍強に拡大した。理由について「考えるより行動だった。返礼品をインターネット上に掲載するまでの時間を短縮したほか、従来の100~150種類から約600種類に増やした。個人への書類送付は外部委託し、担当職員は商品開発に専念できるようにした」と語る。

 他の自治体の先行事例も積極的に取り入れる。「良いことはどんどん、まねをしていいと思っている。市民のためになることなら、まねだろうが何だろうがやるべきだと思う」と強調する。

 〔横顔〕趣味はゴルフ。執務中、椅子代わりに使用しているバランスボールについては「骨盤を立たせようと意識するので姿勢もよくなる」。

 〔市の自慢〕市民や職員。良い子どもが多く、高齢者も屋外で運動している人が多い。職員もみんなよく働いている。

(了)

(2022年10月4日iJAMP配信)

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