インタビュー 【トップインタビュー】愛着持って住み続けてほしい=高橋恭市・千葉県富津市長 2022/10/11 08:30

房総半島の東京湾側に位置し、南北40キロの海岸線や、切り立った崖の鋸山などで知られる千葉県富津市。自然や観光・レジャーは豊富なものの、人口は減少の一途をたどる。高橋恭市市長(たかはし・きょういち=52)は「大切なのは市民が誇りと愛着を持てること。生まれ育った人に住み続けたいと思ってもらえるよう、まちづくりに取り組む」と話す。
今年6月、市が目指す10年後の将来像を示す「富津市みらい構想」を策定した。「誇りと愛着を持てるまち」をテーマに「安全安心」「子育てしやすさ」に重点を置き、施策を展開する方針だ。子育て施策は、2016年の市長就任以降、妊娠期から就学前までの切れ目のない支援を行えるよう充実を目指してきたが、「現状に満足せず、今後も子育て中の人から常に情報を得てブラッシュアップする」と気を引き締める。
進学や就職で市外に出る人もいるが、東京湾アクアラインや館山自動車道の開通で、首都圏からのアクセスが向上したことに触れ、「東京や横浜に地元から通う人、通えるので地元に戻りたいという人が増えてほしい。生まれ育った人が、自ら選んでここに住んでいるとなれば、よその人にも市の良さは伝わるはず」と強調する。
観光が移住につながる点にも期待する。動物と触れ合えるマザー牧場や鋸山登山などには多くの人が訪れる。また近年、観光ツアーでの上陸が可能となった東京湾に浮かぶ人工島「海堡(かいほう)」も人気。高橋氏は「ベッドタウンではないので、交流人口や関係人口から定住人口へのステップが必要。時間はかかるが、時間をかけて判断してもらった方がいい結果になることもある」と話す。実際に、移住者には市内でまちおこしに取り組む大学のサークル出身者がいるという。
鋸山は昨年7月に日本遺産「候補地域」に選ばれた。「市にとってシンボル的な場所。登録されれば、全国レベルで評価を頂くことになり、市民の愛着と誇りにもつながる」と話す。自身はツイッターやインスタグラムでの情報発信も小まめに続ける。「残念ながら『ふっつ』と読んでもらえない場合があるので、富津を知ってもらえるきっかけになってほしい。富士山やラーメンの写真を投稿すると反響が大きい」と笑顔を見せた。
〔横顔〕浜田靖一衆院議員秘書、富津市副市長を経て、16年初当選。2期目。趣味は食べ歩きやスポーツ観戦。
〔市の自慢〕豊かな海。「40キロの海岸線はどこからでも富士山が見える」という。ノリは県内生産の8割を占める。また、スポーツや生涯学習に取り組める公園や施設が多い。
(了)
(2022年10月11日iJAMP配信)