インタビュー 【トップインタビュー】まちの将来に有益な財産を=松本政博・長崎県南島原市長 2022/10/12 08:30

天草・島原一揆(島原の乱)の集結地で、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産・原城跡がある南島原市。今年7月に無投票で3期目に入った松本政博市長(まつもと・まさひろ=74)は、「将来において(市民・住民に)有益な財産になる」ことを重視する。
市内全域に光ファイバー網を張り巡らせたこと、島原鉄道の廃線跡地を利用した32キロの自転車歩行者専用道路の着工にこぎつけたことが特に印象に残るという。前者は、原城跡周辺の情報インフラが特に整備されていなかったこと、若い人が地元に戻ってきて、都市部と同様にインターネットが自由に使える環境にすること、市の事業拡充のためにも整備を進めた。後者にも「整備して残していくことが、将来有益な財産になるだろう」という思いと交流人口の拡大にもつながるとの期待を込めている。
松本市長は、職員に「積極的に企画・立案をしてほしい」「できない理由を探すのではなく、まずやってほしい」と常に投げ掛けている。これに応えて、それぞれの部署で職員が頑張ってくれていて、「ありがたいし、うれしい思いでいっぱい」と率直な気持ちを表す。シティプロモーションなどでは市民・住民から直接反響が寄せられているという。
松本市長は、「役職に関係なく、何かあったらいつでも来い」と、市長室のドアは常に開けられ、職員の出入りがある。風通しが良く明るい職場環境を心掛けている。
これからについて松本市長は、「安心して暮らせる未来(まち)をつくる」「豊かさの感じられる未来(まち)をつくる」「賑(にぎ)わいのある未来(まち)をつくる」の三つの公約に取り組む構えだ。しかし、「県庁での会議に間に合うように行くには、2時間はみておかねばならない。(長崎)空港へ行くのも同様」という現実がある。こうした地理的要因が市民・住民の日常生活、市の主産業の農林水産業、地域振興による交流人口の増加などを阻んでいることに頭を悩ませ、「しっかりとした道路(の整備)が大事」と強調する。
〔横顔〕平成の大合併前の加津佐町議、南島原市議を経て、2014年市長就任。認定農家でもある。3男1女は独立し、妻と2人暮らし。
〔市の自慢〕県の農産物生産量の半分は島原半島で担い、その4割を市が担っている。天草・島原一揆の後、全国各地から移住してきた人たちがこの地で暮らしてきたため、「(市外からの人の)受け入れは前向き、違和感なく受け入れる気持ちがあると思う」。交流人口拡大のために、17年度から天草灘の対岸の熊本県天草市と交流連携協定を締結している。
(了)
(2022年10月12日iJAMP配信)