2023/令和5年
924日 (

インタビュー 【トップインタビュー】将来の合併視野に土浦市と連携強化=宮嶋謙・茨城県かすみがうら市長 2022/11/01 08:30

宮嶋謙・茨城県かすみがうら市長

 茨城県かすみがうら市の宮嶋謙市長(みやじま・けん=59)は、隣接する同県土浦市と連携を強化したい考えを示す。「ある程度の財政規模を確保して周辺まで血液(住民サービス)を行き渡らせるには、広域で合併していく必要がある」と強調。将来の合併を視野に、土浦市と関係を深めていきたい意向だ。

 かすみがうら市は人口約4万人、土浦市は約14万人。いずれも、琵琶湖に次ぎ国内で2番目に大きい湖「霞ケ浦」に面しており、県南地域に属する。平成の大合併では、旧霞ケ浦町と旧千代田町が合併してかすみがうら市に、旧土浦市と旧新治村が合併して土浦市になった。一時はこれら4市町村で地方自治法に基づかない任意合併協議会を発足させたこともある。

 当時について「本来は4市町村が一緒になるはずだったが、何かの行き違いで霞ケ浦町と千代田町の2町合併になってしまった」と振り返る。その上で、県南地域で最大の人口を抱える周辺のつくば市(約25万人)を挙げ、「あの時に4市町村でまとまっていれば、今ごろはつくば市との合併を検討していたはずだ。広域化が十数年は遅れた」と悔やむ。

 東京都内から車で1時間程度に位置する県南地域について「茨城県の大きなエンジンをつくる必要がある」と力説する。「首都圏から近く、土地の余裕もある。これほどポテンシャル(潜在能力)が高い地域はそうそうない」とみているためで、「かすみがうら市も加わり、つくば市を中心とする政令市や中核市などの塊をつくりたい」と語る。そうなれば「国が東京一極集中を是正する流れの中、つくば市を中心とする県南地域は一部省庁移設の受け皿になり得る」と展望する。

 合併のメリットについて「財政規模の拡大で自由度が高まる」と指摘。「弊害もあると思うが、合併してそれぞれの区が個性的な運営をした方が、地域の個性を生かしやすくなる」と想定する。

 ここまで合併に強い意欲を示すのは、「いろんな事業を展開する上で、市単独でできることには限りがある」ためだ。「人口4万人の自治体で(全て備わっている)フルスペックは無理。周辺自治体や県などと連携する必要がある」と話す。

 一方で「いきなり合併のために動きだすというのでは、市民感情としてもついていけない。合併はじっくり時間をかけてやっていく課題だ」とも認識しており、当面は土浦市との連携強化を目指す。「『兄弟』だと思っている土浦市と連携をもっと強めれば、いろんな仕事が効率的にできる。連携強化に向け、事務的な勉強会をスタートさせたい」と語る。

 具体的には、消防事業や社会福祉協議会、観光協会の運営、有害鳥獣対策、火葬場の利用などで連携できないか模索したい考えだ。

 〔横顔〕趣味は読書と「自転車いじり」を含むサイクリング。好きな言葉は「情熱」。

 〔市の自慢〕気候が温暖で住みやすく、野菜や果樹の生産に向いている。霞ケ浦の豊かな恵みも享受できる。住んでいる人は穏やかで優しい人が多い。

(了)

(2022年11月1日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事