インタビュー 【トップインタビュー】市役所に来なくてもいいのがDX=福田晃・埼玉県越谷市長 2022/11/02 08:30

各種申請や届け出などの手続きを、自宅にいながらスマートフォンやパソコンなどで簡単にできる「ネット市役所」を11月から開始する埼玉県越谷市。福田晃市長(ふくだ・あきら=47)は「市民に、できるだけ市役所に来なくてもいいと徹底的にするのがデジタルトランスフォーメーション(DX)だ」と強調する。
人口減少社会において職員の増員が見込めない中で、「職員の負担を軽減し、業務コストを下げるには今までと同じやり方ではできない」というのがネット市役所の推進理由だ。
導入当初は行政手続きの15%程度から始め、4年で80%までカバーする計画。ただ、現場を持つ市役所は「ネット環境を持たない高齢者らと接する機会も多く、紙はどうしても必要だ」との思いも持つ。オンライン化で生じる職員の余力で「市役所に来る必要がある人たちへの対応を徹底的に手厚くする」ことは忘れていない。
DXは、「ゴールではなく、利用して価値を生み出すことに意味がある」と指摘。インターネット上の仮想空間「メタバース」などの最新技術も、「必要ならやるし、名前を売るだけだったり、時期が早かったりすればすぐにはやらない」と冷静で、IT企業で働いていた経験を市長としての判断に生かしている。
福田氏は、当時サッカーの日本フットボールリーグ(JFL)所属の水戸ホーリーホックでプレーしていたという異色の経歴を持つ。ポジションはフォワードで、練習試合で「(西ドイツ代表も務めた)リトバルスキー選手にマークに付かれたこともあった」と懐かしがる。
市には、男子バスケットボールB2リーグ「越谷アルファーズ」が本拠地を置くが、プロサッカー選手の経験から「スポーツチームがどう地域に貢献できるかが分かる」という。「アルファーズが地域も盛り上げ、いろいろなスポーツに波及し、市民誰もが生涯スポーツに関われるまちになってほしい」と期待する。
〔横顔〕越谷市出身。水戸ホーリーホック退団後、CRC総合研究所(現伊藤忠テクノソリューションズ)勤務。越谷市議を経て、2021年11月市長。知識の向上が趣味で、毎年一つ資格を取ることが目標だ。アニメも好きで、「週末はキングダムとワンピースを見るのが楽しみ」。
〔市の自慢〕「水郷こしがや」と呼ばれ、東京都心に近いのに豊かな自然環境が残っている。日本最大級のショッピングモール「イオンレイクタウン」には周辺からも多くの買物客が集まる。
(了)
(2022年11月2日iJAMP配信)