2022/令和4年
124日 (

インタビュー 【トップインタビュー】リニアも含めた南アルプスの活性化を=辻一幸・山梨県早川町長 2022/11/02 08:30

辻一幸・山梨県早川町長

 山梨県西部に位置する早川町。リニア中央新幹線のトンネル工事に伴い、土砂を載せたダンプカーが町内を行き交う。辻一幸町長(つじ・かずゆき=82)は、静岡県が大井川の水資源などへの影響を懸念して静岡工区の着工を認めていない状況について、「静岡県が言っていることも分かる」とする一方で「南アルプス圏域全体で、リニアも含めて考える課題だ」と指摘。圏域での環境保護と地域活性化の両立を提唱する。

 町は静岡県と隣接していることから、「大井川流域と歴史的なつながりを持っている。われわれも水で生かされてきた」と、水の重要性に理解を示す。その上で、静岡工区と町は「南アルプスを共有する同じ条件下にある」と指摘。「ここ(静岡工区)だけの問題として捉えるべきじゃない」と静岡側にも協力を求める立場だ。

 JR東海が4月、工事による湧水流出への対策として、田代ダム(静岡市)での取水を抑制して水を確保する「田代ダム案」を静岡県に示した。これについては、2年ほど前にJR東海側に「町から提案した話だ」とし、「同じ地域で生きる者として、静岡県にマイナスとなることを、町が補うことができたらという思いで提案した」と明かした。

 一方で、町は田代ダムから取水した水を使う東京電力の発電施設を抱えており、国の「電源立地地域対策交付金」を受けている。取水量を抑制して発電量が減ると、交付金が一部減ることになり、町はJR東海への提案時に、減収分の補填(ほてん)を併せて求めた。これについては「JR東海は補填について承知をした上で、静岡県に提案しているはずだ」との見解を示す。

 リニアを巡っては、川勝平太知事と何度も面会しているといい、水問題などに関する川勝氏の主張にも理解を示す。一方で、「国家的なプロジェクトが止まってしまうのはどうなのか」とも。「南アルプス全体で考えるべきだ。そこにはリニアも入ってもらう。(環境を)守ることと、活性化していくことは両立できる」と語り、リニア開通を踏まえた南アルプス圏域の在り方を考えるべきだとの持論を示す。

 現在11期目。これまでで一番印象に残っている出来事は「平成の大合併」だ。国の方針に乗らず、「日本一人口の少ない町」として生き残る道を選んだ。「行政機関などが集約されれば、山間部の人々は生活していけなくなる」と話し、行政が地域に密着して支援できている現状に胸を張る。

 〔横顔〕1980年に初当選し、全国の現職首長で最多選。「町民に希望と勇気を与えることが役場の使命」。

 〔町の自慢〕特産品は、山ぶどうワインや鹿肉のジビエ、町で採取された原石で作る「雨畑硯(すずり)」など。標高全国3位の間ノ岳など、南アルプスの山々に囲まれた大自然が魅力。

(了)

(2022年11月2日iJAMP配信)

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