インタビュー 【トップインタビュー】廃校の利活用で交流人口拡大目指す=小山修作・宮城県川崎町長 2022/11/04 08:30

宮城県川崎町の小山修作町長(おやま・しゅうさく=65)は、就任から11年以上、人口減少の課題に向き合ってきた。過疎化は財政問題と直結するがそれよりも、「学校がなくなると地域の核がなくなる」と次世代を担う子どもの減少に危機感を抱く。
2010年に767人だった児童生徒数は22年には475人で3割を超える減少。小学校の統廃合も進み、20年までに5校が閉校になった。1、2期目には約6年間、自らの月額報酬を3割程度削減するなどして、子育て支援策の財源に充てたこともあった。現在は移住政策や交流人口の拡大に力を入れている。
目玉政策は、廃校となった小学校の利活用事業だ。民間企業や地元民と協力し、閉校した5校全てを町内外の人々が交流できる複合スポーツ施設や飲食店、直売所などに生まれ変わらせた。
20年の国勢調査を受けて過疎地域に指定されたが、「今や全国の半数以上の自治体が過疎。格好悪いかもしれないが過疎地域支援の実を取った」と話す。実際に指定を受けたことで、過疎債の発行が認められ、今後議会と相談しながら、子育て政策などの拡充を図る方針だ。
移住政策にも前向きだが、町民の身近な距離感でのサポートが町の売り。「密」な関係性は、町保健福祉課や保健師の努力とも相まって、今年4月には高齢者への新型コロナウイルスワクチン3回目接種率で県内トップという実績を生み出した。町長自身も毎朝のように接種会場に足を運び状況を見守ったという。
「ふるさと納税や移住呼び込みなど自治体同士がアピールし合っている。情報を発信することも重要だが、町役場内にも働き掛け一緒にやらないといけない」と、今後も人口減少という難題に町職員と一丸で向き合う。
〔町の自慢〕四季折々の草花が楽しめる国営みちのく湖畔公園が自慢。青根温泉やスキー場などで観光も楽しめる。
〔横顔〕趣味は映画一筋。学生時代は毎晩名画座に通った。お気に入りは「ローマの休日」と「シェーン」で、印象に残ったせりふをメモするなどして、選挙演説などの参考にしているという。
(了)
(2022年11月4日iJAMP配信)