インタビュー 【トップインタビュー】「子どもの幸せ」最優先に=越田謙治郎・兵庫県川西市長 2022/11/10 08:30

大阪府に隣接するベッドタウンとして発展してきた兵庫県川西市。10月の市長選で新人候補の挑戦を退け、再選を決めた越田謙治郎市長(こしだ・けんじろう=45)は、「住宅都市としての魅力は生かしつつ、働く場所、活躍できる場所という新しい価値をつくっていかなければ」と2期目の抱負を語る。最優先に目指す姿は「子どもが幸せになる川西」。子どもファーストの独自政策に力を注ぐ。
市立川西病院の移転、中学校給食の開始…。1期目の市政では、新型コロナウイルスへの対応に忙殺されながらも、前市長時代からの積み残しの課題に取り組んだ。病院移転では、手薄になる北部地域の医療を支えるため、市外の医療法人を誘致して回復期病棟を整備する計画を決定。学校給食ではアレルギー対策を徹底し、28項目のアレルゲンを指定して、希望する生徒には代替食を提供する仕組みを整えた。「新しい価値を加えながら、引き継ぎをすることができた」と総括した。
再選を目指した選挙で訴えたのは、暮らしや学びに関して子どもたちが意見を表明する権利を認める「こども参加条例」の制定で、2024年までに実現を目指す。子どもの学力を向上させるための少人数授業も重点政策として掲げた。
学校に行かない選択をした子どもたちにも目を配る。不登校の子どもたちの居場所を学校内に設けるため、支援員を配置する「校内フリースクール」は七つの中学校で既に実現。23年度からは、市内16の小学校にも拡大する方針だ。
25歳の若さで川西市議に初当選。今年は政治家として20年目の節目だ。「20年後、30年後の未来のために働きたいと訴え、政治家になった。ようやく市長として、約束を果たせるポジションを頂いた」と振り返る。一方で、経済右肩上がりの時代は終わり、社会は人口減少に直面。政治に求められる役割も変化した。施設の統廃合など、反対や批判に直面しながら進めざるを得ない案件も多い。
「公共施設の数は減り、まちは小さくなるかもしれないが、質を高めれば幸せになれる」と確信する。「市長自らが前に出て住民に語り掛け、自治の深みをつくっていかなければ」と力を込めた。
〔市の自慢〕清和源氏発祥の地とされる川西を「何かが始まるまち」と定義。明治時代にこの地で売り出された炭酸水が今の「三ツ矢サイダー」の始まりで、イチジク「桝井ドーフィン」も川西で初めて栽培された。「川西の良さ、DNAを引き継ぎ、市民と共有したい」と語る。
〔横顔〕趣味は読書と野球観戦。休日に時間が確保できれば、スポーツジムで汗を流す。フィンランド発祥のボウリングに似たスポーツ「モルック」が川西市で盛んなこともあり、その普及にも力を入れている。
(了)
(2022年11月10日iJAMP配信)