2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】子育て応援で活力維持=飯田晴義・北海道幕別町長 2022/11/10 08:30

飯田晴義・北海道幕別町長

 スピードスケートの金メダリスト高木菜那・美帆姉妹や陸上短距離の日本記録保持者・福島千里さんの出身地である北海道幕別町。町の活力維持のため、飯田晴義町長(いいだ・はるよし=67)は「人口構造を変えていく必要がある」と訴え、子育て支援や定住対策に注力してきた。「現場主義」を掲げ、職員にはアンテナを高くし、スピーディーに対応できる準備力を求めている。

 町の人口は約2万6000人。3人に1人が65歳以上の高齢者だ。「策を何も取らなければ、高齢化はますます進む」と危機感を募らせ、子ども医療費の無料化や中学校の修学旅行費の半額補助に踏み切った。40歳以下の人が町内で住宅を購入した場合、費用を補助する制度も導入した。若い人を呼び込むのは「各市町村との競争。トータルで選んでもらえる施策を続けてきた」と話す。

 高齢者への配慮も忘れない。「町づくりの基本は対話」というのが持論。老人クラブの新年会は格好の場だ。「『褒め言葉は要らない。文句があれば教えてほしい』と頼み込み、1カ所で2時間は話を聞く」と決めていた。新型コロナウイルスの感染拡大前は20カ所くらい行った年もあったが、コロナ禍でめっきり減り、残念でならない。

 職員には「町民に何かを問われたとき、『法令や条例、規則で決まっているからできない』と言うのは『説明責任を果たしていない』」と説く。「法令や規則には、背景や目的があり、理論や理屈がある。それをしっかり説明しないといけない」と強調する。スピード感に欠ける対応も嫌う。「行政で新規に独創的な発想でやることは、ほとんどない」とみる。「独創的だと思っても、どこかで類似したもののヒントを得ている。必要なのはアレンジ力だ」と主体的な姿勢の重要性を訴える。

 町長2期目は防災対策を最大公約に掲げた。2016年8月に台風が相次いで上陸し、大きな被害を受けたためだ。同年11月、当時幕別の応援大使だった日本ハムファイターズの大谷翔平選手が町を訪問してくれた。ファイターズが日本一に輝いた年でもある同年、大谷選手を応援大使として迎え入れる幸運を得ていた。春季キャンプの際は幕別町発祥のスポーツであるパークゴルフのクラブをプレゼントした。

 直近2回の冬季五輪では、メダリストの高木姉妹を町長の立場で祝福した。気が置けない先輩からは「お前は実力も何もないけど、運だけはあるな」と冷やかされる。大谷選手が将来引退した後、「町長はしていないと思うが、『大谷翔平杯』というパークゴルフ大会を開催してほしい」と夢を掲げる。

 〔横顔〕経済部長、教育長などを経て15年に町長就任。2期目。中学校までは地元有数のスピードスケート選手だった。

 〔町の自慢〕本州から渡ってきたとみられるナウマンゾウの化石骨が1969年に見つかった。08年以降、高木姉妹、福島さん、山本幸平さん(マウンテンバイク)、桑井亜乃さん(女子ラグビー)の計5人のオリンピアンを輩出した。

(了)

(2022年11月10日iJAMP配信)

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