2022/令和4年
1127日 (

自治体便り 東日本大震災の経験知を伝える~風化防止に関する研修会=福島県企業局 2022/11/10 09:00

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から11年が経過しましたが、この間、国内外の多くの皆さんからの温かい御支援を頂き、福島の復興は着実に前進したことを福島県職員として心から感謝します。

 本県では、帰還困難区域を除いて面的な除染が完了し、避難指示区域が大幅に縮小するなど帰還・インフラ環境の整備が進むほか、再生可能エネルギー、医療、ロボット、航空宇宙関連等の産業育成が進展している。

 一方で、令和元年東日本台風、昨年、今年の最大震度6強の度重なる福島県沖地震、新型コロナウイルス感染症、電力等の物価高騰など、目の前に新しい課題が次々押し寄せており、復興の歩みが風化することが懸念される。10年以上の歳月が経過し、県庁内でも東日本大震災を経験したことのない職員や全体の状況が分かる職員も徐々に増えてきたことから、庁内全体でも風化防止の取組が重要である。企業局においてもベテラン職員からの技術の継承を円滑に進めていくことが、企業局経営の使命である「工業用水の安定供給」を確かなものとすることから、『東日本大震災の風化防止に関する研修会』を開催した。

 研修会は、2部構成により実施、意見交換を行った。

 第一部は企業局長 山寺賢一による「東日本大震災から現在に至るまでの経験等」講話、第二部は、大地震と津波に見舞われたいわき事業所のベテラン職員4名から当時の写真を用いて体験談を熱く、振り返ってもらった。
 
 第一部では、局長の山寺(当時空港交流課に勤務)から、大震災により鉄道、高速道路が遮断される中、福島空港の運用時間が大幅に拡大し、自衛隊機の受入や救援物資等の輸送拠点として機能したこと、県庁が一丸となり対応したことが語られた。引き続き、「これまでの復旧、復興・再生への県の取り組み」、「震災や原発事故等を風化させないための方策」について意見交換を行った。参加者には、当時中学生だった方、原発事故により避難を余儀なくされた職員もおり、復興に携わった先輩職員の苦労、復興への想いが共感できた。

 第二部では、いわき事業所の対応として「工業用水道事業の復旧・復興の現場(最前線)の経験と歴史から未来に伝えたいもの(残したいもの)」をテーマにベテラン職員4名から、当時の写真を用いて現場説明、ユーザー企業の復旧活動や生産活動再開に向けて、24時間体制で協力企業とともに応急復旧に携わったこと等を語ってもらった。

 海水を利用する小名浜工業用水は、甚大な津波被害に見舞われた。度重なる地震で水管橋が被災した勿来工業用水、多数のユーザー企業を抱え、工場敷地内で企業とともに復旧作業を行った磐城工業用水のようにそれぞれ異なった対応が求められた。 

 配管構造や弁の設置場所、過去の破損・修繕歴が記憶で整理されているように、現場を知り、イメージできる《現場力=経験知》が有事にはものを言うことが理解できる熱のこもった講演であった。

 東日本大震災により企業局がどう変わったのか「企業局の今」と研修会で得られた知見を今後にどう活かしていくかを総括する。

 今回は、局長、ベテラン職員が「あの当時はこうゆうことがあった」、「こうした苦労があった」と「語り部」になってくれた。

 福島県職員は、人類が経験したことのない災害対応と復興にチャレンジしていく必要がある。そのためにも災害の概要とその対応、得られた知見を経験知として理解し、今後の災害、緊急時にも動じないような心構えを持つことができるものと信じている。

 原発事故の影響により、海水を利用する事業から撤退した企業があった。今なお工業用水の放射性物質を定期的に検査し、浄水発生土が苗木業者に販売できなくなったことで産業廃棄物処分経費と併せて原子力損害賠償が続く状況にある等、経営への影響は今なお残る。

 また、工業用水を使用するユーザーもLNG受入基地(発電)、バイオマス発電等の震災後に成長してきた産業を担う企業へ給水を開始し、産業構造の変化にも対応している。

 大震災で得られた教訓は、給水を止めないための工夫として耐震化、複線化、老朽化施設の計画的な更新計画づくりと計画管理に活かされている。計画を着実に進めるためにも先輩職員の知見《現場力=経験知》を更に深掘りするため続編を望む声、経験談をデジタル記録し広く共有していくべきとの意見があった。

 当局の東日本大震災の対応記録は、県HPでご覧いただけます。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/60015c/kirokusi.html

(2022年11月10日iJAMP配信)

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