インタビュー 【トップインタビュー】待機児童問題を解決=城間幹子・那覇市長 2022/11/11 08:30

人口32万人の那覇市で初の女性市長となった城間幹子(しろま・みきこ=71)が15日、任期を満了し勇退する。全国ワースト級だった待機児童問題を事実上解決したことが最大の実績だ。女性幹部職員の登用にも尽力した。自身が後継指名した「右腕」の元副市長、知念覚氏に市政を引き継ぐ。
一貫して「子どもの貧困」に取り組んだ。中でも待機児童問題は2016年度に559人を数え喫緊の課題だったが、保育施設数を倍近く増やして託児先を確保。22年度には23人まで激減させた。「現在は保育士の確保など次の段階に進んだ」と自信をのぞかせた。
給付型の奨学金制度や、就学前の入学準備金のほか、「貧困の連鎖を断ち切るためだ」と語る「学びクーポン」事業などを手厚く打ち出した。教職出身であり、「私自身の強みを生かした対策だ」と振り返る。中学卒業までの医療費の窓口での無償化を県内の他市に先駆けて表明。子育て世代の負担軽減に貢献した。
女性の幹部登用も推し進めた。毎年度末、主査または課長級以上の20~100人余りに対し「昇任者面談」を敢行。ある職員は息子の受験を理由に昇任を断ろうとしたが、「『お母さんも頑張るからあなたも頑張りなさい』と言った方がうれしいのではないか」と語り掛けると、納得して昇任を受けたという。
こうして、市の男女共同参画計画が女性管理職の割合を「23年度に17%」と定めていたところ、20年度に達成させた。「女性が子を産み育てる2~3年でキャリアに傷は付かないが、社会がどう見るかだ」。さらなる意識改革の必要性を念頭にこう指摘した。
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対し、「オール沖縄」の支援で当選、就任した。玉城デニー県政支持の姿勢を貫き、「辺野古問題は県の権能。頑張ってもらわなければ」としつつ、先の市長選では、問題の言及を避けて自民、公明両党の推薦を受けた知念氏を支援した。オール沖縄の体制に関し、「保守中道が抜けた。今後は再編成する必要がある」と語った。
辺野古移設をめぐる政府と県との対立には、「政府が(自治体が使い道を決められる)一括交付金を表立って減らしてきたことに象徴されている」と受け止める。市は一部事業で政府が市町村に直接交付する「特定事業推進費」を活用しており、「一点突破の事業で政府と堂々と渡りを付けることは必要だ」としつつ、「県全体ではやはり使い勝手の良い一括交付金が望ましく、県を介する過程は必要だ」と語った。
〔横顔〕歌唱や朗読好きを生かし、視覚障害者にニュースや物語を読むボランティア団体に参加する意向。「退職後に門をたたくと30代から決めていた」
〔市の自慢〕正殿などが焼失し再建中の首里城。
(了)
(2022年11月11日iJAMP配信)