2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】魅力発信通じ、社会増へ=中阪雅則・和歌山県かつらぎ町長 2022/11/16 08:30

中阪雅則・和歌山県かつらぎ町長

 和歌山県北東部の山間部に位置するかつらぎ町。中阪雅則町長(なかさか・まさのり=60)はこれまで、防災ラジオの導入、高齢者の外出や子育ての支援などに取り組んできた。メディアを通じた町の魅力発信にも力を入れており、「町のブランドイメージをつくり、移住・定住につなげ、社会増を目指す」と力を込める。

 町は子育て世帯の定住を促すため、2020年度から順次、幼稚園、認定こども園、小中学校の給食費を無償化するなど関連事業を拡充。また、「潜在的移住者」に働き掛ける目的で、テレビや新聞などを通じた情報発信にも取り組み、「町がメディアに取り上げられる機会が増えた」と実感している。実際に22年には大東建託の「いい部屋ネット 住み続けたい自治体ランキング」で関西3位となり、22年度上期の人口も社会増に転じた。

 初当選した19年時点で、町は県内市町村で唯一防災行政無線がなかった。中阪氏は公約に掲げた通り、各世帯に1台ずつ防災ラジオを無償貸与し、主要道路沿いには「サブの位置付け」として屋外スピーカーを20基を設置した。ポケベルの周波数帯を利用しており、山間部や建物内でも聞こえやすく、確実に情報を届けられるメリットもあるという。

 町の高齢化率は9月末時点で39.7%、高齢者の移動手段の確保も課題だ。町はすでに導入した地域バスに加え、デマンド型の乗り合いタクシーのサービスを21年度に開始。今年12月からは、交通空白地域を解消するため、「シニアカー」と呼ばれる高齢者向けの電動カートやマイクロバスを利用した買い物ツアーの実証実験を行う。「高齢者が主体的に目的地に行けるようにすることが健康や長生きのために重要だ」と強調する。

 このほか、13ヘクタールの用地に、ホテルや温浴施設、飲食店、マルシェを備える商業リゾート施設の誘致にも取り組んでいる。町は用地確保に向け、所有者から土地を買収するための経費をすでに予算計上している。「観光誘客や雇用創出につながる」と期待する。

 〔横顔〕町内の出身。特技は水泳の平泳ぎで、中高生のときに全国大会やアジア大会で優勝したほどの実力。「非日常的な場所で思考にふける」ため、月数回ソロキャンプを楽しむ。

 〔町の自慢〕「世界遺産とフルーツの町」。1700年以上の歴史を持つ「丹生都比売神社」をはじめ文化財が豊富で、柿の生産量は日本有数。

(了)

(2022年11月16日iJAMP配信)

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