2023/令和5年
131日 (

インタビュー 【トップインタビュー】経営感覚生かし、利益を出す=田口知明・秋田県仙北市長 2022/12/02 08:30

田口知明・秋田県仙北市長

 2021年に就任した秋田県仙北市の田口知明市長(たぐち・ともあき=52)は、企業経営の経験を持つ。「経営は結果が全て。任期中にあれもこれもやっただけではいけない。結果良くなったのか。経営感覚を生かし、利益を出したい」と抱負を語る。

 市長選への思いを強くしたのは、3代続く木材会社を自主廃業したことが契機だった。「製材業は騒音やごみが出る業種。理解がなければできない。存続できたのも地域のおかげだ」と振り返る。地域にどう恩返しできるか考えていたところ、目に飛び込んだのが「無投票当選の可能性」の文字だった。

 初めは高齢の地元県議が立候補に名乗りを上げたのみだった。自身に政治経験はなかったが、経営者の人脈で、コロナ禍による温泉宿や土産物店、伝統工芸者らの悲鳴をじかに聞いていた。「少子高齢化や市の財政が厳しい中、現役世代のわれわれが矢面に立たなければ、未来は切り開けない」。立候補を決意し、当選を果たした。

 公約の目玉に掲げたのは、幸福度全国一を目指すこと。「高層マンションや収入を求める人は、仙北市で満足するのは難しい。しかし、カーテンを開けば田沢湖を一望でき、周囲全てが観光資源。『所得は低くても生活は幸福』を追求したい」と強調する。他方、恵まれた環境に市民自身が実感することも重要だと訴える。「農家や経営者、会社員ら皆がここで生まれ育ち、『幸せ』と言ってくれる地域なら、おのずと存続できる」と力説する。

 当選後には、職員意識や行財政の改革に乗り出した。「このままでは市が沈没する危機感を、皆で共有しないと目的地には進めない」との認識からだ。今年春には市出身の経営コンサルタントを、人材育成や行財政改革などを支援するアドバイザーに任命。直面する市の課題を職員らが本質的に知り、向き合ってほしいと、教育の徹底を図っている。今年度からは新たに市全事業の「事務事業評価」も開始。厳しい財政下で期待する成果を出せたか洗い出し、効果の高い予算措置を目指す。

 毎年行っている市民意識調査も今年から拡充。市民から見て、市の子育て支援をはじめとしたメニューは使いやすいか、何に対し満足しているかなどを重点的に計測している。「調査は市や自分の通信簿」と受け止め、数字や結果を重視するのも元経営者ならではだ。

 「われわれの仕事は市民に幸せになってもらうこと。サービス業なんだ」。部下にはそう言い聞かせ、日々市政にまい進している。

 〔横顔〕趣味は海外・温泉旅行。コロナ禍前は毎年、両親と妻、義父母で東北の温泉宿に出掛けていた。互いの両親が仲良くおいしい料理やお酒を飲む姿を見るのが幸せ。

 〔市の自慢〕活火山の駒ケ岳から恵みを受ける乳頭温泉郷や日本一深い田沢湖、角館の武家屋敷など県内屈指の観光資源を有する。

(了)

(2022年12月2日iJAMP配信)

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