2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】未来見据えた長期ビジョン策定へ=山名宗悟・兵庫県神河町長 2022/12/09 08:30

山名宗悟・兵庫県神河町長

 兵庫県の真ん中に位置し、自然豊かな里山の風景が広がる兵庫県神河町。就任から13年、4期目の2年目を迎えた山名宗悟町長(やまな・そうご=63)は観光を軸にした交流人口の増加などに力を注ぐ中、「長期的な目線も必要」だとし、30~50年先を見据えた町の方向性を示す「2050神河将来ビジョン」を年度内に策定する方針だ。

 山名町長は、人口減対策や移住促進などに重点を置いた地域創生総合戦略を短期的な目標とし、町の総合計画を中期的な目標と位置付けた上で、「脱炭素社会やデジタル化社会を迎えて世の中が大きく変化していく中、神河町が目指す普遍的なゴールや目標はあるべきだ」と主張。「この町を持続可能な形で残していくためにも、未来を見据えた将来像を示したい」と策定の意義を語る。

 策定に向けては、未来を担う若者の意見を積極的に取り入れるため、若手町職員によるワーキンググループを設置。現在議論を重ねているという。山名町長は「町民の声をしっかり拾いながら、町民が一つの方向に歩めるようなビジョンを示したい」と話す。

 交流人口増加は同町が手掛けてきた重点施策の一つ。2017年に辺地債と過疎債を活用してスキー場を整備し、県内のスキー場運営会社を指定管理者とする形でスタートした。来客者数は暖冬だった19年に減少したものの、新型コロナウイルス感染拡大の中で、夏場のキャンプ需要の高まりなどを背景に急回復。21年度は6万3000人が訪れ、オープン以来過去最高となった。中国、山陽両自動車道からのアクセスが良く、JR播但線の寺前駅からもタクシーで約25分。山名町長は「関西圏の需要を取り込むことができている」と説明。楽しみは来客者の車のナンバーを見ることで、「高知、和歌山など遠方からも来てくれてうれしい」とほほ笑む。

 産官連携にも力を注ぐ。昆虫食を手掛けるベンチャー企業「BugMo(バグモ)」(京都市)に小学校の廃校舎と敷地を貸与。同社はコオロギの養殖場として敷地を活用している。山名町長は「企業が町内に参入しやすいよう工夫し、誘致に力を入れていきたい」と話す。

 〔横顔〕好きな言葉は、発明家エジソンの「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」。「常に挑戦することの大切さを職員と共有したい」と話す。

 〔町の自慢〕「ニッポン全国鍋グランプリ2019」で優勝したアウトドア施設「グリーンエコー笠形」の「和牛の柚子(ゆず)とろろすき焼き」。扁妙の滝では冬場は氷瀑を見ることができる。

(了)

(2022年12月9日iJAMP配信)

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