2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】若手育成、自発的な職員に=瀧澤智子・大阪府池田市長 2022/12/12 08:30

瀧澤智子・大阪府池田市長

 大阪府池田市で昨年8月、府内初の女性市長に瀧澤智子市長(たきざわ・ともこ=41)が就任した。この1年、市政運営に加え職員の働き方改革を実施。特に「自発的な職員になってほしい」と、若手職員の育成に注力する。

 昨年、サウナを市役所に持ち込むなどの問題を受け冨田裕樹前市長が辞任。「市政の混乱を落ち着かせたい」と市長選に立候補した。就任後、「まずは職員のモチベーションを上げなければ」と、職員の働きやすさ向上に力を入れた。ワーク・ライフ・バランスの徹底を伝え、休日勤務では最低限必要な人数で出勤するよう働き掛ける。「働く時間だけでなく、自分や家族との時間を大事にしてほしい」と話す自身も、小中学生2児の母。公務が終われば家事や育児に時間を使うという。

 力を入れる若手育成では、会議の際に「最終責任は市長の自分にある」と、よく若手に意見を求めるという。定期的に庁舎内で声を掛けたり、「○○の件、自信を持って進めてください」とチャットツールでメッセージを直接送ったりと、密なコミュニケーションも大事にする。

 そのかいあってか、今年20~30代の職員約10人が有志で「ウォンバット課(自称)」を立ち上げた。ウォンバットとは、主にオーストラリアなどで生息する有袋類動物。市内の動物園で飼育されている「ワインくん」が世界最高齢になったことを記念し、ウォンバットを活用した地域のPR活動を進める。第1弾は関連のグッズ、キャンペーンを販売、実施する市内事業者を募集し、市のホームページで紹介した。課の職員は他にもふるさと納税の返礼品の製作や、イベント出展に携わり活動の幅を広げている。

 職員研修の工夫も怠らない。既存の4年目研修などに加え、ソフトバンクの幹部による仕事の進め方に関する講座など、官民連携を人材育成に生かす。今後は、年齢や時期で変化する女性特有のメンタルヘルスに対応した研修も企画したいという。「男性職員にも参加し、理解を深めてもらいたい」と呼び掛ける。

 「政治は生活と密着しているが、無関心な人は多い。以前は自分もそうだった」と話す瀧澤氏。議員秘書の経験から市政に興味を持ち、女性や子育て世代の声を市政に反映させたいと政治家を志した。市議を2年半、市長を1年と行政経験は短いが、職員からは「民間に近い感覚があり、自分たちにはない発想を持っている」と言われるという。今後も「普通の感覚」を忘れず、大切な職員とともに市民の生活を守っていく。

 〔横顔〕証券会社勤務、議員秘書を経て池田市議を1期務めた。21年に初当選。小学生と中学生の娘が2人いる。

 〔市の自慢〕阪急電鉄や日清食品の創業者ゆかりの地であり「池田は事始めの町」。市長は「府内で初の女性市長が誕生したのも、事始めの町ならではかも」と話す。

(了)

(2022年12月12日iJAMP配信)

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