インタビュー 【トップインタビュー】省エネ新庁舎、来春開庁=菊池博・茨城県下妻市長 2022/12/13 08:30

茨城県下妻市は、2023年5月に新庁舎を開庁する。空調や照明などに必要な年間の1次エネルギー消費量の50%を省エネ技術で、25%を創エネ技術でそれぞれ削減する「ニアリーZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)」と呼ばれる建物だ。菊池博市長(きくち・ひろし=60)は「新庁舎をシンボルに再生可能エネルギーの導入を進めていく」と語る。
現庁舎の隣接地に現在建設している新庁舎の建設費は約51億円。屋上や駐車場に太陽光パネルを搭載し、創エネを実現する。ZEB仕様の庁舎は全国でも珍しいとみられ、約5億円は関連する国の補助金で賄う。現庁舎は2年後に解体する方向で、跡地利用は「公民連携で考えたい」という。
情報通信などデジタル技術を使って既存制度を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を巡っては、23年4月にDX推進課を設置する。これにより、「新庁舎では、手書きしていた手続きを簡略化したり、職員の仕事もDXで効率化したりしていく」予定。市民サービスを拡充し、行政改革も進める考え。
市内にある自動車やオートバイのレース場「筑波サーキット」には1回のイベントで数千人が来場する。地域活性化のため、運営会社と連携し、「来場者に道の駅に来てもらったり、土産物を買ってもらったりする仕組みをつくる」という。
今後の人口減少については「市の人口も30年後には3割減少するとみられる。公共施設などインフラも3割必要なくなり、税収も減る中、いかに戦略的に縮小していくかがキーワードになる」と語る。一方、「年配の方や私たちは拡大の時代を生きてきたため、縮小することには抵抗がある」と指摘し、「縮小していくことをどう説明していくかが政治家の役割になる」と受け止めている。
こうした中、自治体は「広域で連携していかないと立ちいかなくなる。(基礎自治体単独で全ての行政サービスを展開する)フルスペックはもう無理だという考え方は基本的にどの自治体も同じだ」と話す。
工業団地の新設などに伴い、今後は昼間人口が数千人増える見通し。「何割かでも市内に住んでもらえたら人口の減少カーブを少しでも緩やかにできる」という。このため、民間資金活用による社会資本整備(PFI)も含め、新規雇用者向けの住宅を整備していく考えだ。
〔横顔〕約30年前のサラリーマン時代、ボランティア活動に関わったが、限界を感じ、政治家に転身した。座右の銘は「積小為大(小さな努力を積み重ねれば大きな成果につながる)」。
〔市の自慢〕「茨城百景」にも選定され、市の中央部付近に位置する周囲6キロの農業用ため池「砂沼(さぬま)」は市の財産。コンパクトで住みやすく、コメや豚肉もおいしい。
(了)
(2022年12月13日iJAMP配信)