インタビュー 【トップインタビュー】ゼロカーボン、努力が形に=鈴木直道・北海道知事 2022/12/28 08:30

1期目の終盤に差し掛かる北海道の鈴木直道知事(すずき・なおみち=41)。任期中に注力した取り組みの一つが、2050年までに道内の温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボン北海道」だ。現在道内では、国の「脱炭素先行地域」に5市町が選定され、都道府県で最多。ゼロカーボンシティ宣言を行った自治体は81市町村に上り、国や道、市町村など「みんなで努力した一つの形ができてきた」と語る。
ゼロカーボン北海道は20年3月に表明。「ゼロカーボン推進局」を新設したほか、国によるタスクフォースも設置された。北海道は太陽光や風力、中小水力発電について、推計される利用可能なエネルギー資源量が全国1位。「日本全体のカーボンニュートラルを実現する上でも、北海道が果たすべき役割は非常に大きい」と改めて強調する。
課題として挙げたのが若年層への浸透だ。道の調査によると、ゼロカーボンという言葉の意味を知らない人は18歳から29歳までで75%に上る。「10~20代の方が50年の将来に向けて、大きな役割を果たしていく」と指摘し、若い世代に対する機運醸成が必要と考える。
来年4月には札幌市で先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合が開かれる。道は、開催に向けて設置された札幌市長をトップとする実行委員会の事務局に職員を派遣。「脱炭素への機運醸成、行動変容につなげる好機にしたい」と意気込む。
このほか大量の電力を使うデータセンターの誘致にも取り組む。自身が東京で講演するなど、情報発信を強化している。鈴木氏はデータセンターを「ある意味デジタルと再生可能エネルギーの掛け合わせで相乗効果をもたらす象徴的なもの」と表現。道は100%再エネを活用した電気供給によるセンターの集積を目指している。
就任から経過した約3年8カ月については「政策公約として掲げた157の約束はすべて着手している」との認識を示した。一方、新型コロナウイルス禍などで「地域に行って人を集めてということができなかった」と悔しさもにじませ、残る任期で「皆さんに直接会い、話を伺う機会を積極的に持っていきたい」と話す。
〔横顔〕東京都庁職員時代、北海道夕張市に派遣され、都庁退職後11年市長に当選。19年4月には道知事選に出馬し、初当選を果たした。
〔道の自慢〕冬のリゾート地として有名なニセコエリアなど。例年2月に行われる「さっぽろ雪まつり」は新型コロナの影響で2年続けてオンライン開催になったが、来年は3年ぶりに札幌市内の会場で開催される予定。
(了)
(2022年12月28日iJAMP配信)