2023/令和5年
131日 (

インタビュー 【トップインタビュー】歴史や文化磨き地域に活力を=山田賢一・福井県越前市長 2023/01/05 08:30

山田賢一・福井県越前市長

 約1300年前の大化の改新後に北陸地方で最も早く国府が置かれ、ものづくりのまちとしても知られる福井県越前市。2024年春には北陸新幹線の県内延伸開業を迎える。同年のNHK大河ドラマには、市にゆかりのある紫式部を主人公とする「光る君へ」に決まった。山田賢一市長(やまだ・けんいち=64)は「市に注目が集まるチャンス」とし、紫式部を活用した観光PRや、伝統産業の磨き上げに力を入れる。

 市の人口は約8万人だが、少子高齢化などに伴い、60年には約5万5000人に減少すると見込まれる。「住み慣れた場所での暮らしに差し障りが出てくる局面。消費者と生産者が減少すれば、地域の活力を失う」と危機感を抱く。

 市は国府が置かれたころ、政治、経済、文化の中心地として栄えた。今でも越前和紙や越前打刃物などの伝統産業が根付く。平安時代には、紫式部が越前国の国司となった父の藤原為時と1年余り、越前で過ごしたとされる。こうした市の特徴について、認知度を向上させ、地域振興に結び付けられるかが「最大の課題」となっている。

 そこで21年11月の市長就任直後、地域ブランディングや誘客促進、新駅周辺整備―といった部局横断の三つのプロジェクトチームを設置し、22年度の予算や組織編成に反映させた。今後は「ユネスコ創造都市」のクラフト部門への加盟も目指している。「市民が誇りに思い、住み続けたいと思える場所にすることが究極の目的。それが観光客のリピートにもつながる」と強調する。

 新幹線開業に伴い新設される越前たけふ駅は、「市民が集う場所」として先端の研究施設や商業施設などを一体で整備する構想。多様な産業拠点を集積し、若者のUIJターンを実現させたい考えだ。

 県庁職員時代から大切にするのは、役所を超えた人とのつながり。「仕事で出会った人との信頼関係は今でも生きている」という。市役所は「市民サービスが基本」としながらも、職員には「役所の殻に閉じこもらず、いろんな場所でいろんな人と出会い、いろんな体験をしてほしい」と積極的に外に出向くよう背中を押している。

 〔横顔〕1983年に県庁に入り産業労働部長、総務部長、副知事などを経て、21年の市長選で初当選。趣味は自転車と読書。座右の銘は「信なくば立たず」と「オープンマインド」。

 〔市の自慢〕「越前おろしそば」。市内には20店舗以上の名店がある。ほかにも、オムライスの上にとんかつを乗せた「ボルガライス」や中華そばといった食のバリエーションが豊富。市と南越前町の境にある標高795メートルの日野山もお薦め。

(了)

(2023年1月5日iJAMP配信)

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