インタビュー 【トップインタビュー】平将門は郷土の英雄=木村敏文・茨城県坂東市長 2023/01/06 08:30

茨城県坂東市は、1000年以上前に自らを「新皇」と称し、関東8カ国の独立を宣言して朝敵となった平将門が最期を迎えた地とされる。将門を巡っては、非業の死を遂げたため怨霊になったという伝説が有名だが、木村敏文市長(きむら・としぶみ=67)は「圧政に苦しんだ農民を救おうとしたと市民には受け止められており、郷土の英雄だ」と語る。
将門の勇姿を現代によみがえらせるため、毎年秋に行われる「将門まつり」では、勇壮な武者やみやびやかな姫が路上を練り歩く。将門の名を冠したハーフマラソン大会も開かれている。市内には、将門の座像をご神体とする「国王神社」や、将門の胴体を埋めたとされる胴塚が残る「延命院」などがある。郷土愛を育むには「これらの史跡を活用しない手はない」。将門の知名度を生かし、市のPRにも努めていく考えだ。
自治体の合併については、「『平成の大合併』が行われたのは『昭和の大合併』の50年後。住民が平成の大合併になじむには時間がかかる」と見込む。人口の減少スピードが今後、加速していくことを踏まえ、「理屈としてはさらなる合併が必要だ」としながらも、「実行するのはなかなか難しい」とみており、合併機運の醸成は次世代のリーダーに委ねる意向だ。
当面の課題は「圏央道(首都圏中央連絡自動車道)のインターチェンジに近い工業団地へいかに優良企業を呼び込むかだ」と強調する。「少子高齢化で社会福祉・医療費がかさむ中、地方の独自財源を確保する必要がある」ためで、雇用創出を含む経済波及効果に期待している。「周辺地域に地元産品の販売や飲食の提供が可能な施設を置くことも検討している」という。
市民が額面以上の商品を購入できるプレミアム付き商品券を巡っては2020年、木村氏の発案で、商品券で支払いを受けた小規模店舗にも、換金時に額面に一定割合を上乗せする「Wプレミアム商品券」を全国に先駆けて発行した。県内ではつくばみらい市、取手市が追随している。
〔横顔〕30代前半で猿島町(現坂東市)役場を辞め、友人と工務店を経営。PTA活動を通じ、周囲に推され猿島町議に。同町と岩井市の合併を経て坂東市議、議長を歴任し、2017年から現職。現在2期目。趣味はゴルフのプレーと観戦。
〔市の自慢〕江戸時代末期に、初めて日本茶(さしま茶)を米国に輸出した豪農の中山元成を輩出。国内セロリ栽培の第一人者から学んだ市内の農家「うちだ農園」が作るセロリは青臭さがなく、肉厚でみずみずしいのが特長で、1月にもふるさと納税の返礼品に加える。
(了)
(2023年1月6日iJAMP配信)