2023/令和5年
131日 (

インタビュー 【トップインタビュー】辺野古、軟弱地盤で「完成できない」=玉城デニー・沖縄県知事 2023/01/10 08:30

玉城デニー・沖縄県知事

 昨年9月の沖縄県知事選で再選を果たした玉城デニー知事(たまき・でにー=63)。最大の公約は、政府が進める米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設阻止だ。軟弱地盤のある埋め立て予定海域では、地盤改良のための防衛省の設計変更を不承認。土砂投入から4年がたちながら、この海域は手付かずの状態が続く。「沖縄防衛局は依然、埋め立て工事全体を完成させることができない状態だ」と対決姿勢をあらわにする。

 埋め立て承認撤回の効力については昨年12月、県の敗訴が最高裁で確定したが、不承認を巡り政府と法廷闘争を続ける。国は行政不服審査制度を利用して県の処分を取り消すなどした経緯があり、「判断は一切示されていない。国が私人の権利救済制度である行政不服審査制度を用いれば司法審査を回避できることは疑問だ」と、国の手続きは地方自治の趣旨の反すると訴える。

 日米安全保障体制に関しては、「日本や東アジアにおける平和と安定の維持に一定の寄与をしている」と、かねてより支持する立場を示す。しかし、国土面積の0.6%にすぎない沖縄県に米軍専用施設の7割が集中する在り方には、「異常としか言いようがない」と憤る。

 国防の問題でありながら、「内地(本土)」の国民に沖縄の思いが理解されづらい。「負担も全国で分担していただくことが筋だ」と主張。知事が全国を行脚する講演活動に加え、SNSでの発信を充実させる考えだ。「なぜ反対するのか、丁寧に国際社会で発信していくことが重要だ」と、国連での演説も模索している。

 政府は安保関連3文書を改定し、沖縄県内で自衛隊を増強する方針を打ち出した。沖縄本島の陸自増員やミサイル部隊配備の動きには、「米軍と自衛隊を合わせて考える必要があり、負担増にほかならない。県民も不安を抱かざるを得ない」と懸念する。加えて、「米軍も自衛隊も置いて当たり前だという議論は不合理で、沖縄だけが日米安保を担えばよいというのは正しい方向性ではない」と指摘し、基地負担を巡る国民的議論の必要性を訴える。

 台湾海峡の緊張は高まり、先島諸島では有事の現実味が増している。沖縄では太平洋戦争末期、4人に1人が犠牲になったとされる地上戦の記憶が県民に刻まれている。有識者の話から「沖縄は武力攻撃に必ず巻き込まれる」と警鐘を鳴らし、「77年前の状況を再び引き起こすことは絶対にしないとメッセージを出す必要がある」として、政府は外交努力を重ねるべきだと強調する。

 一方で、離島住民の避難手順などを定める国民保護計画については、「机上訓練など平時の取り組みは、常に確認しておきたい」と警戒を怠らない姿勢だ。

 〔横顔〕休日には、ライブハウスに現れて県民と触れ合うなど気さくな人柄で知られる。県外出張に格安航空会社(LCC)も使うこともある庶民派だが、公務や政務で見せる厳しい一面には「別人のよう」(周辺)との声も。

 〔県の自慢〕中国・北京、上海、香港、福州、台湾・台北などに県の拠点を置いて、続けている人材、文化、学術の交流。

(了)

(2023年1月10日iJAMP配信)

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