2023/令和5年
531日 (

インタビュー 【トップインタビュー】温室ガス排出量、30年度に半減=山中竹春・横浜市長 2023/01/12 08:30

山中竹春・横浜市長

 市の温室効果ガス排出量を2030年度に13年度比50%減にするという国を上回る目標を掲げている横浜市。山中竹春市長(やまなか・たけはる=50)は、「さまざまな温暖化対策を行うと、30年度の排出量は市全体で43%程度の削減になる」と指摘。残り7%の積み上げは「簡単ではないが、工場などを含め少しずつ上乗せしたい」と話す。

 市で排出される温室ガスの約3割は、家庭での電気やガスの利用により排出される。このため、「市民がすぐにできることとして、発光ダイオード(LED)照明の利用や、家電を買い替えるタイミングで省エネ家電にしてもらうことで、行動変容につなげる」と力を込める。市内最大級の排出事業者である市役所は、公共施設へのLED照明導入率100%を目指すとともに、公用車には原則として次世代自動車を導入する。

 米軍からの返還地(旧上瀬谷通信施設)で27年に開催を予定する国際園芸博覧会(花博)については、「30年度の3年前で、脱炭素を考える良い契機」と捉えている。「横浜には、新しいことに取り組むというイメージがある。脱炭素、GX(グリーントランスフォーメーション)で新たな社会が実現できると体感できる万博にしたい」と、温暖化防止の機運醸成につなげたいと意気込む。

 返還地は市の郊外部にあり、約240ヘクタールの面積に農地や草地が多く残る。花博後は、集客施設としてテーマパークを設ける計画があるが、都市農業、市民の森といった自然資源も共存させたいという。

 一方、市の中心部にある山下埠頭(ふとう)の再開発でも、都市ブランド向上のため、「脱炭素の機能は重要な要素」とみる。

 同埠頭については、21年にカジノ誘致を中止後、事業者を対象にした開発コンセプトの公募、市民からの意見募集を重ねている。内容選考に当たっては、「税収、雇用を含む経済波及効果は重要な要素で、(数字の根拠は)丁寧に検証する必要がある」と指摘する。中心部と郊外でそれぞれまちづくりを進め、相乗効果を創出したい考えだ。

 〔市の自慢〕野球やサッカー、ラグビーなど国内トップ水準のプロスポーツ7競技の13チームが市内に本拠地を置いている。

 〔横顔〕横浜市立大教授を経て、21年初当選。係長とのキャリアアップに関する意見交換や、課長中心のタスクフォースの立ち上げを実施。「若手職員が、庁内調整に時間を費やさず、面白いと思うプロジェクトをできる環境づくり」を後押ししている。

(了)

(2023年1月12日iJAMP配信)

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