インタビュー 【トップインタビュー】交通渋滞「何としても克服」=大西一史・熊本市長 2023/01/23 08:30

2022年11月に3選を果たした熊本市の大西一史市長(おおにし・かずふみ=55)。1期目は16年4月に発生した熊本地震からの復旧復興、2期目は新型コロナウイルス感染症対応に追われた。3期目について「力を入れたいのは交通渋滞対策。何としても克服する」と述べる。
国土交通省の18年の調査によると、市内の主要渋滞箇所は180カ所に上り、「3大都市圏を除く政令市でワースト1位の交通渋滞」。大西氏が掲げる渋滞緩和策の柱の一つは、「自動車交通から公共交通への転換」だ。
22年4月の組織改編では、新設した交通政策部内に、自転車利用推進課を配置。同月から開始したシェアサイクルの実証実験は、11月末時点で延べ5万3000人以上が利用するなど好調だ。大西氏は「台数やポートも増えている。公共交通の充実につなげていきたい」と手応えを示す。
市電は、コロナの影響で中止していた市民病院までの延伸の協議を再開する一方、「ハード面だけでなくソフト面でも解決していく」として、サブスクリプション(定額制)サービス導入の検討にも意欲を見せた。
公共交通の充実を図りつつ、都市高速道路の整備については「必ず4年間で道筋を付ける」と話す。市は県と21年6月に「熊本県新広域道路計画」を策定。複数の高規格道路を整備し、市中心部から高速道路インターチェンジや熊本空港への所要時間を短縮する「10分・20分構想」の具体化を進めていく考えだ。
一方、マイナンバーカードの普及にも力を入れる方針。市の申請率は昨年12月末時点で約71.9%で政令市1位。1月中には、新たに市中心部の郵便局10カ所で申請を受け付け、郊外の5カ所では市職員が出向く出張申請を行う。
市は23年3月末まで、マイナカードを活用してコンビニエンスストアで取得する証明書の発行手数料を10円に減額。大西氏は今後、子育て支援制度の申請にもマイナカードの活用を検討していくとした上で「ただ持ってくださいと市民に言うのではなく、持ってからの流れを実感していただくことが重要」と強調した。
〔横顔〕昨年3月から市で開かれた全国都市緑化フェアなどをきっかけに、多肉植物の栽培にはまる。「じわじわ花を咲かせる多肉植物の世話は政治に似ている。やり過ぎても、やらな過ぎても駄目」という。
〔市の自慢〕熊本地震復興のシンボルである熊本城。昨年9月のテレビ番組で「最強の城総選挙」1位に選ばれた。
(了)
(2023年1月23日iJAMP配信)