2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】数十年先見据え、中核市に=深沢義彦・鳥取市長 2023/01/24 08:30

深沢義彦・鳥取市長

 2018年4月に中核市へ移行した鳥取市。昨年4月、3期目に入った深沢義彦市長(ふかざわ・よしひこ=69)は、「市は人口最少の中核市。数十年先を見据えると、中核市に移行すべきだと思った」とした上で、新型コロナウイルス感染者への対応などを踏まえても「移行してよかった」と振り返る。

 中核市となったことで、福祉や保健衛生など5分野で県から事務が移譲され、保健所の所管も市に移った。20年からはコロナが流行し、陽性者やクラスター(感染者集団)の発生に対応している。中核市のメリットは「感染状況をリアルタイムに確認し、臨機応変に指示ができること」と強調。「保健所だけでは対応できない場合でも、市の各部局からローテーションで効率よく応援職員を出せる」と語る。職員負担が増したと感じているが、住民に近い最前線で対応する基礎自治体として、中核市移行はサービスの向上につながったと話す。

 他方、深沢氏は地方分権によって、国や都道府県から基礎自治体に事務権限を移す流れが続いていると指摘。将来的にさらなる権限移譲があった場合にも対応できるよう、市の体制を整えて先読みしたいと意気込む。

 市は鳥取県東部の4町(岩美町、八頭町、若桜町、智頭町)、兵庫県北部の2町(新温泉町、香美町)と「因幡・但馬麒麟(きりん)のまち連携中枢都市圏」の連携協約を締結し、圏域での行政を展開してきた。コロナのワクチン接種では、圏域内での共同接種を可能としたほか、市の電子図書館も圏域の住民であれば利用できるようにした。

 深沢氏は人口が減る将来を考えると、各基礎自治体が公共施設を含め、全ての行政機能を維持・継続することは難しくなると説明。「一つの市町村で全て完結するのではなく、圏域でお互いを補い合うことが求められる」と語る。行政機能をうまく働かせるには、人口規模が20万人以上の中核市が各圏域の中心的役割を担う必要があるとみている。

 〔横顔〕福井大工卒。1978年鳥取市役所に入り、秘書課長、市民税課長、副市長などを経て14年に初当選。趣味は「リュート」というギターの演奏。

 〔市の自慢〕昨年5月、鳥取砂丘近くにオープンしたワーケーション施設「サンド・ボックス・トットリ」。自然が豊かで、災害が少ないことも市の自慢という。

(了)

(2023年1月24日iJAMP配信)

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