インタビュー 【トップインタビュー】迅速な危機管理対応を徹底=川添健・鹿児島県長島町長 2023/01/30 08:30

鹿児島県の最北端に位置する長島町は、長島本島をはじめ、伊唐島、諸浦島、獅子島など大小27の島々で構成される。現在5期目の川添健町長(かわぞえ・たけし=78)は、「住民が一番行政を頼るのは災害や危機の時」と強調。2022年4月の町長選では危機管理を重点施策の1番目に掲げ、迅速な対応を心掛けている。
新型コロナウイルス感染症を巡っては、これまでの対応に自信を見せる。特に、ワクチンは対応が整った自治体から試験的に配布されるという情報をいち早くつかみ、「職員にはとにかく医師、スタッフを急いで探そうと言った」と振り返る。その結果、2021年5月に全国で1回目のワクチン接種が始まった同時期に接種を開始することができたという。
町の基幹産業は、養殖ブリや赤土バレイショをはじめとする第1次産業。農業と漁業でそれぞれ120億~130億円の収入を誇る。「災害などがあっても価格を補償する制度がない」と課題を指摘し、国に支援の強化を働き掛ける方針だ。
現場では高齢化に伴う人手不足が懸念される。「今、企業が農作業を受託して収穫などをする仕組みが出てきている。そういったことを拡大する必要がある」と、官民連携で第1次産業を支える重要性を訴える。
「獅子島に橋を架けたい。町内の一番の夢だ」。産業を持続的に支えるため、大きな夢を抱く。本土から長島本島、伊唐島、諸浦島は橋でつながるが、獅子島にはなく、船での往来が必要。町は約30年前から、獅子島へ橋を架ける構想を持っている。長島本島と本土を結ぶ黒之瀬戸大橋が1974年にできるまで、漁業や農業の収入はそれぞれ4億円ほどしかなかった。「それが、今は両方120億円。橋の効果はありがたい」と語り、新たな架橋実現に大きな期待を寄せる。
国や県へ補助金の要求を続けつつ、「夢追い獅子島架橋基金」として町独自の積み立てを実施。残高は約17億円に達した。補助金を活用できれば、「あと10年もかからないくらいで(橋を造れるよう)貯金をしている。何とかこれを成功させたい」と力を込める。
〔横顔〕妻と2人暮らし。朝の散歩が日課。町長就任以来、ノートに1日の歩数や健康状態を細かく記録している。
〔町の自慢〕赤土バレイショと日本一の生産量を誇る養殖ブリ。針尾公園内に造った「針尾空中展望トイレ」からは、雲仙天草国立公園を一望できる。
(了)
(2023年1月30日iJAMP配信)