2023/令和5年
325日 (

インタビュー 【トップインタビュー】廃駅後も、にぎわいの中心に=中西俊司・北海道留萌市長 2023/01/31 08:30

中西俊司・北海道留萌市長

 110年超の歴史を誇るJR留萌線(留萌―深川間、50.1キロ)の廃止が決まった。留萌―石狩沼田間は3月末、残る石狩沼田―深川間は2026年度末までという異例の段階的廃止となる。早くから廃止を容認してきた北海道留萌市の中西俊司市長(なかにし・しゅんじ=66)は「(廃線後も)留萌駅周辺をにぎわいの中心に」と考えている。

 留萌線は1910年に深川―留萌間が開業し、21年に増毛まで延伸。石炭や海産物の運搬で栄え、99年にはNHK連続テレビ小説「すずらん」の舞台にもなった。観光客が集う中、自身も商工観光課(現経済港湾課)係長として留萌駅前に土産屋を開いたり、SLを走らせたりと、まちおこしに奔走。しかし「(ドラマの)効果は長く続かなかった」。

 利用客は減少し、JR北は2015年、留萌―増毛間の廃止を提案。16年には深川―留萌間の廃止意向も伝えられた。「(増毛―留萌間の廃止提案時)JRから『さらなる廃線はない』と聞いていた。驚いたが、来るべき時が来たと思った」と副市長として対応に当たった当時を振り返る。

 深川―留萌間の沿線4市町で様子見が続く中、JR北は18年、存続の場合の沿線自治体負担額が9億円となるとの試算を提示。他の沿線3市町は通学利用などを考慮し存続を望んだが、留萌市は廃止容認にかじを切った。「利用者は少なく、水産品など貨物運送を含め、車社会になっていた」。鉄路と並行するように深川市から留萌市をつなぐ高規格道路が19年度中に開通することも念頭にあった。

 廃線後は、通勤通学での利用を想定したデマンド型タクシーを走らせる一方、高規格道路を使い、これまでより所要時間を短縮させた旭川市行きのバス路線を新設する方針。4月1日からの運行を目指し、関係各所との協議を加速させている。

 駅舎は今後、市に無償譲渡される見通し。鉄筋コンクリート造りとはいえ、築55年以上が経過する駅舎は老朽化が目立つ。譲渡後は取り壊すが、「留萌港と鉄路の関わりなど歴史的なものは残したい」。跡地には多目的ホールやバスの待合所などを備えた複合施設を建てる考えだ。

 駅近くには廃線後を見据えて整備してきた道の駅がある。屋内遊戯施設を備えており、アウトドア用品大手「モンベル」の関連施設誘致も進む。「地元の人には気付くことができない視点を外部から取り入れたい」と力を込めた。

 〔横顔〕産業建設部長や副市長を経て18年初当選。2年ほど前から登山を始めた。

 〔市の自慢〕厳冬期、海面には「けあらし」という珍しい蒸気霧が発生する。

(了)

(2023年1月31日iJAMP配信)

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