2023/令和5年
128日 (

インタビュー 【クローズアップ】公務員の服装で地域が変わる=古橋香織・カラーコモンズ代表 2023/02/21 16:00

古橋香織・カラーコモンズ代表

 「思った以上に公務員は見た目が命」「公務員の服装が変わると地域が変わる」―。仕事着に関する鋭い指摘と具体的なアドバイスを盛り込んだ指南書「公務員男性の服」(ぎょうせい)が好評だ。著者は元東京都職員でイメージコンサルタントの古橋香織氏(34)。イメージコンサルティングラボ「カラーコモンズ」の代表として、自治体向けの研修などで忙しい日々を送っている。

 公務員は「地味、無難」といったイメージが強いが、「時代は変わり、お役所仕事では済まされなくなった。採用面、財政面で弱い自治体は淘汰(とうた)される空気感がある」と指摘。こうした中で施策を進めるには、担当者が与える印象の影響は大きいと強調し、清潔感ある整った服を着ることは、個人のみならず組織や地域の活性化にもつながると説く。

 著書で「公務員にとって『服を着る』とは『心を守るよろい』をまとうこと」としている。「ルーティンワークや調整、理不尽なことも多い」役所の仕事。職員の中には「住民に怒られないこと」を服選びの基準にする向きもあるという。

 自身が大事にしているのは「服から元気をもらう視点」で、「勤務時間ずっと身に着けている服でモチベーションを上げ、仕事のアウトプットを高めていく。その必要性に気付く自治体や公務員が増えれば」と話す。

 通年ノーネクタイ可の職場も増えたせいか、ややもすれば楽すぎる格好になりがち。自治体で一番多く受ける相談が、若手への注意の仕方だという。「まずは自分の違和感が主観か客観かを見極めて。周りに『(あの服装)どう思う?』と確かめてほしい」と語り、注意する際も「所属長直接ではなく、若手は若手の中ですべきだ。うまく人選して、柔らかく済ませてほしい。『こっちの方がすてきですよ』と提案するのがいいと思う」。

 物価高騰で衣服費が気になる昨今だが、「服はいっぱい持つものではない」と断言し、買い物では「必ず店員とコミュニケーションをとって」と訴える。消去法で選ぶのが基本で、「ここが駄目、ここが使えない、ここがきつい。そうすると自然と自分になじむものしか残らなくなる」。低価格の量販店でも「絶対妥協しない。このユニクロで3年着られるか? と考えて必ず試着を」と力説する。

 大学卒業後、約8年間都庁で勤務し、2020年に独立。「もともとおしゃれな人間ではなかった」そうだが、仕事をするうち服装や色彩の持つ力に気付いたという。議会局時代は議員から「(自分の服)変じゃない?」と聞かれることもあり、「服装に困っている人が多いのでは」と感じたことも。在職中に早稲田大大学院で政治や地方自治を研究したことも今のキャリアに結び付いた。

 着こなしで最近注目している首長を聞くと、高島宗一郎福岡市長と白井亨東京都小金井市長の名前が返ってきた。「高島さんは自分の服にどのくらいメッセージがあるか分かっている方。白井さんも見せ方が上手」。女性は「元上司」の小池百合子都知事で、「選挙では明るい緑、議会では権威性を出す暗い色が多い。使い分けがうまい」と評する。

(了)

(2023年2月14日iJAMP配信)

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