インタビュー 【トップインタビュー】鳥インフルで農家支援=西平良将・鹿児島県阿久根市長 2023/03/03 08:30

全国に広がった鳥インフルエンザの感染拡大は、養鶏が盛んな鹿児島県でも猛威を振るった。北西部に位置する阿久根市も消毒などの対策に追われた。養鶏農家を営む西平良将市長(にしひら・よしまさ=50)は、「何らかの支援をしないといけない」と強調する。
鳥インフル感染によって、鶏が殺処分となり、農家の経営に打撃となる。再建に向けては「ひなの餌付けから始め、雇用も続けないといけない。それらを含め大変なことだ」と危機感をあらわにする。
そこで市は新年度、鳥インフル対策として、消毒液の噴霧設備を置く養鶏農場に補助金を交付する。自治体レベルでの独自支援策は現状で少なく、モデルケースとなることを目指す。具体的な支援の重要性を唱え、「やらないと養鶏場の再開はままならない」と指摘する。
2022年12月の市長選を経て、4期目に入った。新年度に向けては、民間から人材を登用して市政を進める方針。「民間からマネジャーのような形で市政に入ってもらい、新規施策立案や目標値の設定に寄与してもらう」と狙いを示す。
具体的には、①観光②山③海④子ども子育て⑤移住定住を踏まえた空き家対策⑥デジタルトランスフォーメーション(DX)―の6分野にそれぞれ民間人材を充てる。「役所が考え市民に押し付ける形ではなく、住民にも参加してもらい、民間の方も一緒に考える『協働』をやろうとしている」と明かす。
特に力を入れたいのは観光だ。市長選の公約には「交流人口拡大」を掲げた。「1人当たりの消費と減る人口を掛けると大体、年4億2000万円くらいが失われる」と指摘。これを観光で補う狙いだ。民間登用のマネジャーと共に分析を進め、観光を基軸としたまちづくりの実現を目指す。
〔横顔〕妻と3人の子どもを持つ父。自宅にサウナテントを購入し、市特産のボンタンのアロマと、まきストーブで楽しむ。
〔市の自慢〕希少な「華鶴(はなつる)和牛」の肉祭りを開催。東シナ海のウニを味わえる「うに丼祭り」や「伊勢えび祭り」など、地元の食材を使ったイベントが目白押し。
(了)
(2023年3月3日iJAMP配信)