インタビュー 【トップインタビュー】住宅地としての魅力向上を=松本真・兵庫県尼崎市長 2023/03/06 08:30

大阪府との県境に位置する兵庫県尼崎市。阪神工業地帯の中心都市として発展を続けてきたが、昨年12月に就任した松本真市長(まつもと・しん=43)は、市の将来像を「工業の事業所数は残念ながら減ってきている。今後は大阪や神戸から近い立地を生かし、住宅地としての魅力を高めていくことが重要だ」と見据える。
市の重点課題の一つに人口減少を挙げ、「社会増になる要素をしっかり埋めていく。尼崎に根付く人を増やしていくことがポイントだ」と強調。子育てや教育を含めたまちづくりを政策の柱に掲げる。文部科学省出身という自身のキャリアを武器に「『自分たちの子育てに良い』と思ってもらえる政策を打っていく」と力を込める。
住環境にも懸念を示す。市内の住宅は、歴史的に狭小な土地に大人数が住む構造が多く、市外からの転居者を受け入れる環境が少ないという。また、利便性の高いJRなどの駅前には単身者向けの住宅が目立つ。「空き家対策や公共施設の跡地に住宅を誘導するなどして、次世代を担う人たちが市外から尼崎に越してきたり、1人暮らしをしている市民に住み続けてもらったりできるような政策に力を入れたい」と意気込む。
その上で先進例として、武蔵小杉(川崎市)や北千住(東京都足立区)を挙げ、「二つの街は発展することでイメージが変わってきている。尼崎は関西のそういう地域だと思うので、同じような形になれば良い」と期待感を示す。
選挙戦では、日本維新の会公認候補と一騎打ちになり、注目を集めたが「維新対非維新などと言われるのはあまり好ましくなかった」と振り返る。「市長は政治的信任を負った公務員。政党色はあまり出したくない」との考えで、今後も議会の各会派と是々非々で議論しながら市政運営に取り組む意向だ。
〔横顔〕東京学芸大院修了。05年文科省に入り、市教育長などを経て22年12月から現職。最近のマイブームを尋ねると「99%仕事」と苦笑い。静岡市出身。
〔市の自慢〕「いろいろなルーツの人が楽しみながら生活していて、懐の深い地域」
(了)
(2023年3月6日iJAMP配信)