インタビュー 【トップインタビュー】茶のある生活でウェルビーイングを=杉島理一郎・埼玉県入間市長 2023/03/17 08:30

小学生が困難を乗り越えて成長する映画「ラストサマーウォーズ」の舞台となったのは、狭山茶の主産地である埼玉県入間市。地元出身の監督が手掛け、2022年に公開されたこの作品に、監督からのオファーで自らも茶農家役で出演した杉島理一郎市長(すぎしま・りいちろう=40)は「市内外から多くの反響があった」と喜ぶ。
映画の話題で市内が盛り上がったのを契機に、公開記念として映画作りのワークショップを開催したが、今後も継続してシビックプライド(入間市民としての誇り)の醸成につなげたい考えだ。映画を一過性のものとはせず、ドラマやテレビCMのロケ地として早速話が来ている。
新たに開設した「茶畑テラス 茶の輪」は、茶畑そのものを観光資源とした。高さ2メートルのウッドデッキから茶畑を一望でき、富士山も見える空間演出が売りだ。「狭山茶のある生活がウェルビーイング(身も心も満たされた状態)の象徴となるテラスにしたい」と期待を示す。
もともと市内には外国人が訪れるような観光地はなかったが、テラスを新たな観光スポットとしてPRし、周辺自治体の観光資源とも連携して訪日客の取り込みにも力を入れていく考えだ。
新たに制定した「おいしい狭山茶大好き条例」をきっかけに、企業からのオファーが増え、飲料大手が狭山茶を使ったコラボ商品も発売しており、「お茶のある生活というライフスタイルを提案していきたい」と意気込む。茶農家から教わった「(お茶を通じた)コミュニケーションのある、ゆとりのあるまちであることが、まさに入間市のウェルビーイングだ」と胸を張る。
杉島氏は、人口減少対策に積極的に取り組んでいるほか、ライフプランを尊重し、「望みがかなうまち」としての施策を充実、市の魅力発信に力を入れる。「今後は茶屋を活性化させるスタンプラリーなどイベントの強化やスイーツの開発といった、人が集まるものをつくっていきたい」と意気軒高だ。
〔横顔〕早大政経卒。埼玉県議を経て、20年11月に市長就任。家族は妻と4人の子ども。コロナで外出制限があった時期は、自宅のベランダでホットプレートでのバーベキューを楽しんだ。
〔市の自慢〕全国手もみ茶品評会で産地賞を17回連続、計22回受賞しており、「この分野だけは絶対負けない自負がある」。
(了)
(2023年3月17日iJAMP配信)