2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】住民の立場で町政運営を=鯖瀬武・愛知県扶桑町長 2023/03/24 08:30

鯖瀬武・愛知県扶桑町長

 愛知県西北部に位置し、昨年に町制70周年を迎えた扶桑町。鯖瀬武町長(さばせ・たけし=62)は37年間の町職員の勤務経験を生かし、「庶民感覚、住民の立場に立った感覚で町政運営に当たっている。そうすれば、住民の理解を得て課題解決に向かっていけるのではないかという意識はずっと持っている」と語る。

 役場のほぼ全部署で経験を積んできたといい、「財政担当での経験を一番生かしてこの仕事をやれているのかと思っている。幅広い町全体の財政運営について、目が行き届く面はあると思う」と話す。町政運営に関しては「本当に必要なところに予算を回すためには、見直しも必要であり思い切った改革意識を持ってやっていかないと難しい」との考えを示す。町長就任後には、老朽化したプールの取り壊しや公共施設が立つ借地を少しずつ買い取るなどして予算を捻出。乗り合いのデマンド型公共交通の運行を実現したほか、4月には児童センターの開設を控える。

 児童センターは、子育て支援センターを併設。災害時には妊産婦を受け入れる福祉避難所としても利用できる。小学校高学年から中学生が勉強できるスペースも設けた。「駐車場を広く取ったので、休日にはキッチンカーを呼び込んでにぎやかな施設になるといい」と期待を膨らませる。

 新年度は、新たに移住・定住施策を進める。若者世帯や子育て世帯で、町外から転入した人やこれまで賃貸に住んでいた人を対象に、耐久性や省エネ性能に優れた「長期優良住宅」を購入する場合、20万円を補助する。こうした取り組みにより、「閑静な町、住みやすい町」が特色の町内に人を呼び込みたい考えだ。

 さらに、庁内の機構改革も実施。その一つに、国の子ども家庭庁発足を踏まえ、教育部を創設し、その中に教育委員会と町長部局に新設する子ども課を置く。連携を強化し一貫した子育て施策を進めていく方針だ。「児童センターのオープンに加え、不登校や虐待の問題もある。現在は、いろいろな部署が集まって会議を開いているが、それを一つの部の中でやることでサービスの向上につなげる狙いがある」と説明する。

 昨年、前立腺がんを患い入院した。町はこれまでも、保健センターで集団がん検診を実施していたが、少しでも受診率を上げようと、22年度は町内2カ所に検診車を派遣した。「まずは受診率を上げて早期発見を促す。住民の健康寿命を延ばしていくのは、地道な活動から生まれるのかなと思っている」と語った。

 〔横顔〕1983年扶桑町に入り、住民課長、総務部長などを歴任。2020年5月、町長に就任した。趣味は、中高大学で続けていたフォークギター。

 〔町の自慢〕住環境の良さ。各地域の祭りも残っており、おはやしや伝統芸能もある。古いものと新しいもののバランスが取れた町。

(了)

(2023年3月24日iJAMP配信)

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