2023/令和5年
531日 (

インタビュー 【トップインタビュー】町民目線に立った政策をやる=金子政則・岐阜県八百津町長 2023/04/04 08:30

金子政則・岐阜県八百津町長

 岐阜県東部の山間部に位置する八百津町は、外交官として多くのユダヤ人難民を救った杉原千畝の出身地として知られる。他の山間部の自治体と同じく人口減少が大きな課題で、金子政則町長(かねこ・まさのり=72)は、「人口をなるべく減らさない工夫が必要であり、町民目線に立った政策をやっていく」と意気込む。

 少子高齢化が進んでおり、2023年4月には小学校2校が統合。人口減少に歯止めをかけるためにさまざまな政策を展開する。空き家を貸し出す移住体験では、体験後に居住が決まった人たちにリフォーム補助として数十万円を支援。さらに、低所得世帯に対して支援金を独自に給付する。23年度からの、高校生までの医療費無償化を決定した。「税収が減ることが人口減少を食い止めるべき最大の理由。若者に住んでもらえるよう政策を展開していく」と語る。

 面積の80%近くが山間部で、「次世代につながる安心安全な町づくり」をスローガンに災害への備えに注力。過去の大雨災害などを教訓に、山を背にした家屋の近くに壁を建設しているほか、消防団の充実を図っている。

 22年には防災力の強化とペーパーレス化を同時に狙い、町内全戸にタブレット端末を配布。防災無線から切り替えて、音と画像で災害情報を瞬時に拡散できるようになった。また、回覧板や広報紙もタブレットで閲覧できる。「防災無線が古くなったので思い切って導入した。2億円ほどかけた事業だったが、デマンド交通の予約など今後も(用途を)拡充していきたい」と展望を語る。

 町長就任から7年、職員と共に町民のためとなる政策を実現してきた。「毎日いろいろな問題があり気が抜けない。予算(の制約)などでできないこともあり、ジレンマも感じている」と振り返り、「町民の意見をしっかり聴き、不便だと感じることを解消していきたい」と話した。

 〔横顔〕趣味は絵画や陶芸で、コンクールに出品したことも。絵を描く時は、いろいろ考えずに没頭できるという。1日1万歩ほど町内を散策し、町民とコミュニケーションをとっている。

 〔町の自慢〕町内産の栗を使った栗きんとんが名物で、例年10月ごろの新栗解禁時期には多くの観光客が訪れる。杉原千畝の出身地としてリトアニアやイスラエルなど外国との交流が盛ん。中学生の交換留学も毎年行っている。

(了)

(2023年4月4日iJAMP配信)

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