2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】森林整備で脱炭素先進県に=岸本周平・和歌山県知事 2023/04/19 08:30

岸本周平・和歌山県知事

 「良いスタートが切れた」と語るのは、昨年12月に就任した和歌山県の岸本周平知事(きしもと・しゅうへい=66)。就任からの4カ月間で、「公債費臨時対策基金」の創設や「地域振興監」の設置、若手職員とのランチ会などに取り組んだ。今後は、選挙公約に掲げた「農林水産業と観光業の振興、子育て支援の充実」に注力しつつ、森林整備などを通じて「脱炭素先進県を目指す」考えだ。

 ランチ会「おにぎりミーティング」は、若手職員の意見を業務改善や施策に生かすのが狙いだ。出された意見やそれに対する担当課の回答は職員のポータルサイトで共有。リモートワーク推進に向けてモバイルルーターの管理方法を変更するなど「改善されたことが幾つかある」と手応えを感じている。入庁6、7年目の職員は一巡し、「次は2年目」と意気込む。

 県面積に占める森林の割合は7割超。「林道を整備して植林すれば、カーボンクレジットが得られる」と指摘。既に森林組合との勉強会を始め、事業化に向けて動きだした。ENEOSが持続可能な航空燃料(SAF)の製造を検討している和歌山製油所(有田市)跡地への脱炭素関連企業の誘致や紀伊水道での洋上風力発電など「脱炭素のために和歌山でやれることは何でもやる」と力を込める。

 子育て支援については「給食費無償化を任期中に達成したい」と語る。「巨額の財源が必要になる」ことから、「古い事業や効果のない事業の見直しを進める」構えだ。また、こども食堂の小学校区ごとの設置に向けて、ボランティアの支援体制を整える。

 教育改革に向けて「これまでは普通科至上主義だったが、これからは専門学科を増やす時代。商工業、アート、音楽、スポーツなど生徒が好きなことに取り組める環境をつくる」と強調。「統廃合された学校の校舎を専門学科の校舎として活用する」案を示す。また、少子化に対応しつつ、生徒の国際性を育むため、留学生受け入れやインターナショナルスクール誘致も検討している。

 「人事の抜本的改革」にも意欲を示す。4月に設置した部長級の地域振興監には「振興局の活性化」を託す。本庁と県内七つの振興局の連携を強化し、市町村の地域づくりや移住・交流推進、交通政策を支援する体制を整える。さらに優秀な人材の確保に向けて、中途採用の年齢制限の緩和や採用試験でのペーパーテスト撤廃などを検討している。

 〔横顔〕東大法卒。財務省出身。5期13年の国会議員時代の趣味は街頭演説。息抜きは、お酒を飲みながら韓国ドラマを鑑賞すること。

 〔県の自慢〕古い歴史・文化。豊かな自然。みそ、しょうゆ、かつおぶしなど県発祥の食品は多い。

(了)

(2023年4月19日iJAMP配信)

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