インタビュー 【トップインタビュー】市民協働で20年=山口幸太郎・北海道千歳市長 2023/04/20 10:00

「みんなで夢実現」を信条に、北海道千歳市のかじ取り役を担ってきた山口幸太郎市長(やまぐち・こうたろう=81)は26日、任期満了で勇退する。「職員や市民の力も借り、100%以上の力を注いだ。まさに市民協働だった」と5期20年を振り返った。
2003年の就任時は財政再建の問題に直面した。「民間出身の私からすると、市の財政は非常に逼迫(ひっぱく)していた。会社で言えば、つぶれるような状態だった」と回顧。市民の理解を得て施設の有料化などに踏み切り、5年で健全化した。18年4月には当時目標としていた人口9万7000人を2年前倒して達成。21年度からは人口10万人に向けた新たな総合計画がスタートした。今後の道筋を付けたことが退任の決め手となった。
市内に所在する新千歳空港は20年1月から民営化。同時に市は空港のターミナルビル運営会社の株主から外れ、空港業者と対等な関係になった。そんな中でコロナ禍が直撃。20年の乗降客数は開港以来初めて1000万人を割り込んだ。「ステークホルダー(利害関係者)ではなく、行政として支援をすることになり責任が増した」
利用促進のため、市民へ空港内で使用できる商品券を配布。22年1月には、新千歳空港を含め道内7空港所在自治体9市町に呼び掛けて首長会議を開き、国や道への支援要請もけん引した。22年度の国内線利用客はコロナ禍前比で9割程度に回復。活気が戻ってきたと安堵(あんど)の表情を見せる。
今年2月には次世代半導体の新会社ラピダスの工場建設地に選定された。「空港があって、水が豊富で、広々とした土地があったことが大きい」と誇らしげ。「ラピダスが来て、まちがどう変わるか、どう恩恵をもたらすか、市民に分かってもらうことも大事だ」と語った。
次期市長には、自身の下で副市長を務めた横田隆一氏(67)が就く。「これまで課題を共有してきた。安心して任せられる」と太鼓判。「市民は常に刷新を求めている。新市長の感覚をまちづくりで生かしてほしい」と期待を込めた。
〔横顔〕企業の社長や市議、道議を経て03年初当選。体を動かすことが好き。引退後は「ゆっくりしながら、自分探しをしたい」
〔市の自慢〕北海道の空の窓口・新千歳空港。「空港と共に発展してきたまちだ」と力を込める。
(了)
(2023年4月20日iJAMP配信)