2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】企業誘致で「稼げる市」に=荒木義行・熊本県合志市長 2023/04/27 08:30

荒木義行・熊本県合志市長

 2022年4月に4期目の当選を果たした熊本県合志市の荒木義行市長(あらき・よしゆき=64)。市内には半導体関連企業の集積が進み、「稼げる市」を目標に、さらなる企業誘致や雇用拡大につなげる。一方で、悪化する交通渋滞は「今年度のメインテーマ」と位置付ける。

 市の人口は、23年3月末時点で、6万4000人。熊本市のベッドタウンとして人口の流入が進み、市長に初当選した10年から、約1万人増加した。23年度は、子育て支援を行う「子ども政策班」を設置。婚活を含めて、子育て世帯への支援を強化する。

 08年に策定した総合計画の基本構想では「子育て支援日本一」を掲げていたが、現在は「稼げる市」をアピールする。税収を伸ばし、財政の安定化を図り、子育て支援などを含めた行政サービスの向上につなげる狙いだ。「企業誘致や雇用拡大など、当たり前のことを集中的にやらないと、税収は上がらない」と強調する。

 住宅が増えることで固定資産税は増加するが、それ以上に保育料の補助など、財政負担が重くのしかかる。それでも、直近5年の財政力指数は0.67前後を維持。また将来、市が負担する借金などの割合を示す将来負担比率も算定されていないなど財政は健全だ。

 「自分たちの代で確実に返せる借金はする」と話す一方、「今生まれた子どもたちに、将来借金を返せなんて言えない。それは大人として失格だ」と強調する。

 隣接する菊陽町には、半導体受託製造大手のTSMC(台湾積体電路製造)が進出し、24年末の製造開始に向け、工場建設を進める。合志市内にも、半導体関連企業の集積が進む。

 「23年のメインテーマ」と話すのは、交通渋滞対策だ。県道につながる市道の4車線化も含め、区画整理事業に着手する。また、市内を通る中九州横断道路の建設を加速させるため、「用地対策室」を今年4月に新設した。土地の先行取得など、用地関連事務を効果的に進める。

 道路の拡張や区画整理を進める一方で、農地を手放した農家に対して、「農業以外の仕事ができるよう手当てや支援を行う」と強調する。また、半導体製造の際に大量の地下水が汚染されるという懸念に対しては、「情報をできるだけ開示し、市民の不安の払拭(ふっしょく)に努力しなければならない」と意気込みを語る。

 〔横顔〕推理小説や「必ず正義が勝つというような時代劇もの」が好きという。平日の夕方や土日に、長いときには2時間、政策について考えながら散歩をする。

 〔市の自慢〕4月から初夏にかけて食べ頃のスイカの生産が盛ん。他にもマンゴーやアスパラなど多くの果物や野菜が栽培されている。

(了)

(2023年4月27日iJAMP配信)

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