2023/令和5年
531日 (

インタビュー 【トップインタビュー】子育て世代に選ばれる市に=徳元次人・沖縄県豊見城市長 2023/05/01 08:30

徳元次人・沖縄県豊見城市長

 沖縄本島南部、西海岸に位置する豊見城市。県都の那覇市や那覇空港に隣接しており、観光地としてのみならず、居住地としての人気も高い。人口は漸増を続け、0~14歳の「年少人口割合」は19.17%(2022年1月31日)で全国トップだ。徳元次人市長(とくもと・つぐと=41)は、「子育て世代に選ばれるための取り組みを進めたい」と意気込む。

 今年2月末の人口は6万5893人と、10年前から約1割増え、合計特殊出生率は2を超える。「那覇市に隣接する立地の良さ、大型商業施設や家族向けマンションなど沿岸部の再開発が魅力が高め、働き盛りの世代が流入している」という。昨年10月の就任後、子育て関連の施策に注力している。「豊見城で子育てをしたいと思ってもらうために、先進的な教育などを付加価値にしたい」と語る。英語教育、情報通信技術(ICT)教育、金融教育の充実が目下の目標だ。「外部講師を活用するなどし、豊見城で育てば自然と生きる力・技が身に付くと思ってもらえる教育環境をつくっていきたい」と力を込めた。

 庁内業務のデジタル・オンライン化にも取り組む。証明書取得などの際に来庁しなくてもいいように、ビデオ通話で手続きが完結する仕組みの実証実験を今年度開始する。民間事業者との契約をオンラインで結べる電子契約サービスの導入も検討している。「必ず来庁してもらい手続きも紙でやっている。不便だという声も上がっており、市民の利便性向上に取り組みたい」と語った。

 市の代表的な産業である観光業、農業にも力を入れていく考えだ。徳元市長は「どの産業がどこまで利益を生んでいるか調査ができていない」と、利益を生む体制づくりに課題があると指摘する。観光名所の一つである瀬長島が1例だ。那覇空港から車で15分の立地に加え、欧州の町並みを思わせる建物と美しい海が人気だ。「コロナ禍以前には(年間)300万人くらい観光客が訪れたこともある。だが、どれだけの観光収入につながったか分からない」という。週に何回かの掃除を毎日するようになり、管理費が上がるような状況になっていたこともあり「まずは、調査をして、『強い観光』をつくっていきたい」と訴えた。

 農業にも強みがある。特産品であるマンゴーは「品質や出荷量だと豊見城が一番」と自負する。しかし、「県外では『沖縄産』でしかなく、ブランド化を図っていく必要がある」と語る。県内外の企業と協力し、豊見城産の野菜を使った商品の販売や首都圏での物産展など普及に取り組んでいる。

 市の課題として、「新たな建物の建築が制限される市街化調整区域が多い」ことを挙げる。用途地域を変更し、「那覇空港に近いという利点を生かして高付加価値のITなどソフト産業を誘致したい」考えだ。「市の試算では2045年まで人口が伸び続ける。こうした伸びしろが市の強みであり魅力だ」と語った。

 〔横顔〕3男1女の父。子どもが小学生の頃は、小学校のバスケットボールチームのコーチをしていた。休日はマリンスポーツなどをして子どもと過ごすことが多い。妻と映画を見るのも好き。

 〔市の自慢〕住みやすいベッドタウン。西海岸から見る夕日は遮るものがなく最高。

(了)

(2023年5月1日iJAMP配信)

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