2023/令和5年
531日 (

インタビュー 【トップインタビュー】100年に1度のピンチ乗り越える=鈴木史朗・長崎市長 2023/05/10 08:30

鈴木史朗・長崎市長

 「今、長崎は100年に1度のピンチでもあり、チャンスでもある」と語るのは、4月の長崎市長選で初当選した鈴木史朗市長(すずき・しろう=55)。2022年9月に西九州新幹線(武雄温泉―長崎)が開業し、JR長崎駅周辺再開発などの大規模プロジェクトで整いつつある新たな基盤を生かしたまちづくりを進めながら、「転出超過については全国最悪クラス」という人口減少問題に立ち向かう。

 人口減少への対処として「経済再生、そして子育て政策をはじめとする少子化対策、この二つを車の両輪として回していく」と説く。「今まで食い止められなかったところを食い止める。結果を出していきたい」と力を込める。

 新幹線が通り、豊富な観光資源がある長崎の経済再生に向け、「即効性が高いのは交流拡大だ」と訴える。「旅行者の数を増やすという量の面だけではなく、旅行消費額、あるいは満足度、リピーター率、こういった質の面で高めていく」考えだ。

 鈴木氏は市長選に際し、人口減を食い止めるための少子化対策として「小中学校の給食費無償化」を掲げていた。田上富久前市長は「約13億円の財源が毎年必要で、財政的にはかなり難しい」との認識を示していたが、鈴木氏は実施時期について「(任期)4年間のできるだけ早いタイミングで考えていきたい」と強調する。

 市職員に対しては「一人ひとりが市長の分身だ。職員の痛みは市長の痛みだ。逆に市長の痛みは職員の痛みでもある」と語り掛け、市民のより良い暮らしをつくるために「一心同体で一致団結して取り組む」よう求めた。単なる前例踏襲ではなく、「新しい価値を常につくっていく」心構えが大切だとも訴えている。

 〔横顔〕西九州新幹線開業時の国土交通省九州運輸局長。祖父の田川務氏も長崎市長を務めた。尊敬する人物は坂本龍馬で、趣味はロードバイクや筋トレ。「3食食べても飽きない」というほどのちゃんぽん好き。

 〔市の自慢〕カステラ、ちゃんぽん、皿うどんといった名物グルメ。「さしみシティ」として発信するほど魚もおいしい。稲佐山からの夜景の美しさは広く知られている。

(了)

(2023年5月10日iJAMP配信)

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