2023/令和5年
531日 (

インタビュー 【トップインタビュー】将来世代への投資進める=横山英幸・大阪市長 2023/05/17 08:30

横山英幸・大阪市長

 松井一郎前市長の後継として、4月に初当選した大阪市の横山英幸市長(よこやま・ひでゆき=42)は住民サービスの拡充に重点を置き「特に将来世代への投資を進める」と、保育料無償化や教育環境の充実に意欲を見せる。現職の政令市長では最も若く「大阪市は広域事業から住民密着のサービスまで幅広く担っている。その責任は大きい」と気を引き締める。

 選挙公約で掲げたのは、0~2歳児の保育料無償化と、小学5年生から中学3年生までの塾代助成の所得制限撤廃。街頭演説では子ども連れの聴衆も多く、「選挙に来る層が変わってきた」と語る。「今は共働き世帯が当たり前。所得制限で支援が受けられないという声もある」と指摘し、「全ての子どもに等しくチャンスがあるべきだ」と強調。将来世代の支援に注力する。

 投資には安定財源の確保が求められるが、バブル崩壊後に巨額の負債を抱えた阿倍野再開発事業や弁天町駅前開発事業で、赤字の穴埋めにめどが立った。横山氏は「市の財政状況は上向きつつある」と説明し、保育士増員や保育所整備、保育料無償化を巡る第2子以降の所得制限撤廃などを想定し、2024年度からの事業着手に向け準備を急ぐ。

 一方、「関西経済の起爆剤」と注目するのが、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開業。政府は4月中旬、大阪府・市が提出したIR整備計画を認定した。横山氏が期待するのは、IRで整備される国際会議場や展示場などのMICE機能。「大阪の世界最先端技術を発信したい」と意気込み、25年大阪・関西万博を皮切りにIRへとつなげ、大阪の経済成長を加速させる構えだ。

 ハードルはカジノを巡る問題。認定した政府側も、ギャンブル依存症対策や住民理解の不足を指摘した。横山氏は、カジノ入場時の本人確認の徹底や、依存症対策センターの設置などを積極的に発信する意向を示し、「今後は広報に力を入れていきたい」と語る。

 市長選と同日実施の市議選(定数81)では、所属する地域政党「大阪維新の会」が初めて単独過半数の46議席を獲得した。政策の遂行に強力な支援となる一方、他会派の意見をどうくみ取るかが課題だ。委員会などへの積極的な出席で、議論する姿勢を見せるが「決めないことは避けたい」ときっぱり。「掲げた公約は4年間で進める。政治的責任を守るのが一番の民主主義。ダメなときには有権者が判断する」と強気の姿勢を見せる。

 行政マンだった経験を生かし、リモート勤務やフレックスタイム制度など市職員の働き方改革に取り組む覚悟だ。今年度から始まった、産休育休制度を取得する職員の代替配置に正職員を充てる手法にはこだわりを持つ。「働き方改革は役所内で終わらせず、社会全体に発信していく。経年的な効果検証までやりたい」と意欲を見せる。

 〔横顔〕香川県出身。府庁職員を経て、11年に府議初当選。3期務めた経歴を持つ。3人の子どもと過ごすことが日々のリフレッシュ。

(了)

(2023年5月17日iJAMP配信)

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