2023/令和5年
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官庁速報「アンテナ」 【アンテナ】★…職務専念しつつ「子連れ出勤」(愛知・豊明市) 2023/05/25 16:00

 愛知県豊明市は5月から、自治体では珍しい「子連れ出勤」の本格導入に踏み切った。地方公務員法の職務専念義務との関係にも配慮して制度を組み立てた。市の担当者は「子どもを社会全体で育てる機運を高めたい。地域全体にも波及させたい」と意気込む。

 対象は、市庁舎と図書館に勤務する正職員と会計年度任用職員。0歳から小学3年生までの子どもを帯同できる。帯同場所は、所属する各課室か庁舎内に2カ所設置したサテライトオフィスのどちらかで、職員自らが仕事をしながら子どもの世話をする。

 帯同を認めるのは、保育園や幼稚園、児童クラブ、学童保育、祖父母、在宅の配偶者など、普段の預け先に預けられず、短時間でも職場に出向いて仕事をする必要がある場合に限る。子どもが体調不良だったり、学校・学級閉鎖になったりした場合は認めない。子どもを現場に帯同させること、他の職員に一定時間以上見守りさせることは禁止する。

 3月上旬から約1カ月間にわたった試験導入でも、大きな混乱やマイナスの影響は見られなかったという。利用した職員と、所属する部署で利用者がいた「受け入れ側」の職員の双方を対象に、施行後にアンケートしたところ、おおむね好感を持って受け止められた。

 ただ、制度の本格導入でハードルとなるのは、職務専念義務との関係をどう整理するか。そこで市は、職務に専念できないと判断される場合、利用者に早退や時間単位年休の取得を求め、義務に反する状況が起きないよう運用する。

 さらに、制度的な手当てもした。「豊明市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例」では、義務を免除する場合の一つに「市長が定める場合」を定めている。子連れ出勤の実施要領では、「(子どもの世話について)1日通算30分以内であれば、『市長が定める場合』を適用する」と明確化した。

 市の担当者は子連れ出勤について、「あくまで緊急一時的な措置のもので、常時のものではない」と強調。「いざというときの職員と子どもの選択肢の一つとして捉えてほしい」と語った。(了)

(2023年5月15日/官庁速報)

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