インタビュー 【トップインタビュー】農業と都市化の調和維持を=赤嶺正之・沖縄県南風原町長 2023/06/02 08:30

沖縄本島南部、県都・那覇市の東隣にある南風原町。もともとは純農村だったが、那覇のベッドタウンとして近年、急速に都市化が進む。赤嶺正之町長(あかみね・まさゆき=72)は「農業を守りながら、都市的な土地活用も進める。いかにバランスよくやっていくかが行政の課題」と話す。
沖縄県の中では唯一海に面していない自治体で、カボチャや食用のヘチマの産地として知られる。近年、花卉(かき)やマンゴー、スターフルーツなど果実の栽培も盛んだ。幹線道路や高速道路が縦横に走り交通アクセスが抜群で、那覇の中心部まで車で20分ほどで行ける。1980年に約2万人だった人口は、2023年4月末には約4万500人と倍増した。
町民の平均年齢は39歳。人口の4分の1を10代が占め、全国的にも若い町だ。赤嶺町長は「30代、40代の子育て真っ最中の働き盛りの人たちが多い。大型ショッピングセンターや量販店がいくつもでき、徒歩圏内で生活に必要なものが手に入り、利便性が高い」と人気の理由を語る。
昨年10月、医療費の無償化を中学生対象年齢から高校生対象年齢に広げるなど、子育て関連の施策にも力を入れる。町役場勤務一筋の町長は「福祉と教育の町という目標を先輩から引き継いでいる。老人福祉や子供の居場所づくりにもしっかり取り組みたい」と力を込めた。
町の面積は10・76平方キロで、沖縄本島の自治体では2番目に小さい。意欲的な専業農家などには補助事業を導入し、稼げる農業を目指してもらう一方、一部農地の宅地や商業地への転用も必要な状況だ。赤嶺町長は「土地の『高度利用』という言い方をしているが、限られた土地だけに、大切に使わないといけない」と述べ、有効な土地活用の重要性を訴える。
〔横顔〕町長就任時に「何か趣味を持たねば」と始めたのが沖縄古典音楽。三線をつま弾きながら歌うが、「人前で見せられるほどじゃない」と謙遜する。
〔町の自慢〕特産の「琉球絣(かすり)」の工房が点在し、情緒あふれる全長2キロの「かすりロード」。
(了)
(2023年6月2日iJAMP配信)