2023/令和5年
927日 (

インタビュー 【トップインタビュー】あらゆる人が政治参加を=南千晴・群馬県榛東村長 2023/06/06 08:30

南千晴・群馬県榛東村長

 「上毛三山」の一つ、広大な榛名山の東麓に位置する群馬県榛東村。南千晴村長(みなみ・ちはる=42)は4月23日の村長選で初当選した。県選挙管理委員会の記録によると、県内では歴代3人目の女性首長で、初めての女性村長。地方議員のなり手不足も背景に、女性に限らず「あらゆる人が政治に参加できるような環境整備が必要だ」と強調する。

 県内の現職首長の中で最年少だが、5期約16年にわたって村議会議員を務め、議長も経験した「たたき上げ」の政治家。村議時代には、女性が議員活動と出産・子育てを両立できるような環境整備を進めたことで知られる。第1子を出産したのは議長在職時で、全国的にも前例がない中、他の議員の理解を得ながら会議規則改正により議員の「産休」取得を実現させた。

 第2子を出産した際は議会運営委員会委員長を務めていたが、授乳やおむつ替えといった時間を確保するため、会議を中断して休憩が取れるよう会議規則の改正を進めた。村長就任後も、女性の社会参画や子育て支援については「私自身が当事者になるので、生の声を聞きながら政策に生かしていきたい」という。

 同村は県のほぼ中央にあり、県都前橋市や商業都市の高崎市、伊香保温泉のある渋川市、ベッドタウンとして近年開発が進む吉岡町に隣接する。村外から来て家を建てる若者も多く、少子高齢化の中で村の人口は横ばいを維持。来年度には私立保育所が1カ所新設される見込みだ。

 今後、こうした好立地を生かして「近隣市町ともっといろいろな形で連携していきたい」と話す。傾斜地が多く企業誘致などには不利な点もあるが、さらなる道路整備が予定されていることも追い風にしながら、「新たな榛東村として売り出し、人口増や雇用増につながるような発展を目指していきたい」と意気込んでいる。

 一方、選挙戦の過程では、高齢者から公共交通に関する要望も聞いた。鉄道の駅がなく路線バスに頼る同村では、免許返納後の交通手段を不安視する高齢者が多いという。村は福祉タクシー利用の助成も行っているが、それだけでは十分ではないとの声もあることから、南氏は「交通弱者対策もしっかり進めていきたい」と語った。

 〔横顔〕榛東村出身。会社員、村議を経て、5月18日に村長に就任した。常に思っているのは「謙虚な気持ちを忘れない」こと。就任直後で多忙を極める中、「子どもと一緒にいる時間を大切にしている」という。

 〔村の自慢〕村外の人に驚かれるのは、村の子どもたちの丁寧なあいさつ。ブドウやイチゴなどのフルーツも豊富で、榛名山の東側斜面に位置するだけに朝日や前橋市の夜景が素晴らしい。

(了)

(2023年6月6日iJAMP配信)

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